高3の2学期、そろそろ高校生活も終盤に差し掛かる中間テスト期間のことだった。その日、勉強の苦手な信治にとって、唯一好きな、興味のある科目のテストの日だった。前の晩、ほぼ寝ないで必死に勉強した。要点を自分なりにノートにまとめ、何度も読み返し、翌日のテストに備えた。当日の朝、確認の為に自分のノートに目を落していると、巧が眠そうに教室に現れた。少し遅れて、加奈子も同じように、ちょっと眠そうに入ってくる。巧は、偶々信治の姿を認めると、気軽に声をかけてきた。

「あれ?信治、何やってんの?」

「あ、おはよう、巧君。まぁ出来ないなりの努力かな。自分でノートをまとめてみてさ。それを見ているとこ。」

「へぇ~!信治、真面目じゃん、スゲェ。俺、昨夜ほとんど勉強してなくてさ。しかも、ほぼほぼ寝てないし…。」

「え?そうなの?寝ないで、勉強もしないで、何してたの?」

「いや、勉強しようと思ってはいたんだよ。でも加奈子と遊んじゃってさ…。内緒な?それよりさ、信治のノート、ちょっと見せてくれる?」

信治は、心臓を鷲掴みにされたような衝撃を覚えた。昨夜?寝ないで朝まで?朝近くまで?加奈子ちゃんと一緒にいたの?信治には、2人の家の事情や家庭環境など知る由もなかったが、高校生の男女2人が、しかもテストの前夜に…。そんなことが可能なのか?信治は、思わず教室に加奈子の姿を捜した。他の女子たちと、いつものように談笑しながら、テストの山カケごっこをしている。でも確かに眠そうでけだるそうだ。2人は昨夜、ずっと一緒にいたのか、勉強もせずに、眠りもせずに、遊んでた?何をして…。動揺して、居ても立ってもいられない信治の横で、気が付くと、巧は信治のノートをじっと見ている…。何か唇を動かしながら、ぺらぺらとページをめくり、目を通している。集中力。目の前の信治の存在など全くないかのように、巧の意識は信治のノートに吸い込まれていく。信治は目を見張った。一瞬で、一点に、こんなに入り込んでいける集中力。勉強にせよ、スポーツにせよ、出来る人間というのはこうなのか?信治は圧倒された。こんな男に自分が太刀打ち出来るはずがない。改めて、自分の無能さ、無力さを思い知らされる。しかし、

「信治、凄いな…。よくまとまってるよ。サンキュー!」

そう言って、巧は自分の席に戻っていった。巧が自分を褒めて感謝してくれたことで、信治の劣等感はほんの少し慰められた。そして、テストが始まったが、信治は、さっきの巧の言葉、朝まで加奈子と遊んじゃってさ、という言葉、あらぬ妄想に翻弄され、前夜に必死に覚えたことが、頭から全てすっ飛んでしまったような感覚を持った。それでも、努力の成果を出したい、精一杯、答案用紙を埋めた。テストが終わって休憩時間になると、巧はもう一度信治の元にやってきた。

 

「信治、サンキューな!マジ助かったよ。」

「え?ホント?何か嬉しいな、巧君みたいな人にそう言ってもらえると…。」

「バ~カ!何言ってんだよ。」

そこに加奈子が近付いてくる。信治は、ドギマギしてまともに加奈子の顔を見られない。毎晩毎晩、自分が自慰行為のオカズにしている女の子、その本人が目の前に立って微笑んでいる。しかも横には彼氏も一緒に…。ある意味、巧だって信治の自慰行為のオカズだ。二人揃って…、とても普通になどしていられない。心臓の高鳴りが自分でもわかった。顔も紅潮してしまう。何とか平静を装おうと、俯き、目を逸らし、視線を宙に泳がす。

「お、加奈子、出来た?」

「出来るわけないでしょう?最悪!もう、どうしよう…。ただでさえ苦手科目なのに、ノースタディなんて、無謀過ぎる…。」

がっくりと肩を落とす加奈子。そんな加奈子に得意げな顔を見せる巧。

「俺さ、意外と出来たよ。さっき始まる前、信治がノートを見せてくれてさ、これがドンピシャ!当たりまくり。信治さまさまだな。」

「そうなの?何かムカつく!ねぇ信治君、ちょっと聞いて!この人酷いんだよ。昨日、一緒に勉強しようって言ってたくせに、全然勉強しないし、私にも勉強させずに、遊んじゃおうって。酷くない?」

「え?…え?」

「ほら、加奈子~、信治、困ってるだろ!それにさ、お前、俺のせいにばっかりしてるけど、おかわりしたのはそっちだろ?」

「!ちょっ…!何言ってんの!やめてよ!」

加奈子は、一瞬ドキ!と動揺し、信治をチラ見して顔色を窺う。何かを隠したいかのように、バレたくないかのように。気のせいか、頬に赤みがさす。

「ははは!それより加奈子、期末の時は加奈子も信治にノート見せてもらえよ!信治、いいよな?」

「え、はい、勿論です!」

その日は、テスト期間で昼過ぎに放課になった。学校からの帰りに、加奈子と巧が2人で連れだって歩いている姿を目撃した。昨夜一緒にいた2人、学校が早く終わり、時間的に余裕があるテスト期間中だ。また今日もどちらかの家に2人で転がり込むのだろうか。

 

 信治も早めに帰宅すると、今頃2人は…、あらぬ妄想に囚われ、夜までに3回自慰行為をした。巧にキスされ、抱きしめられ、服の上から愛撫され、徐々に制服を脱がされていく加奈子。お尻も、胸の膨らみも、そして女の子の大事な大事な秘密の場所も、加奈子は全てを巧に捧げ、切ない声をあげている。加奈子の方も、巧の物を口に含んだりするのだろうか、まさか…、まさかそこまでは…、まだ高校生、あの可憐な加奈子がそんなことは…。『おかわり』?『おかわり』って何?2度目?3度目?加奈子の方から、巧に甘えて?性行為をしてもらったの?加奈子の方から?そんな、そんなことが?本当に?ただの妄想だった加奈子と巧の性行為、それが今日の2人の会話で、急にリアリティのある生々しさをもって信治を苦しめる。胸がキリキリと締め付けられる。

 信治の妄想の中、巧と加奈子は、ベッドの上、全裸で絡み合っている。加奈子は四つん這いになり、可愛いお尻を巧に突き出しくねらせる。後から、巧は逞しいペニスを加奈子の大事な大事なあそこにあてがい、何度も何度も突きたてる。その度に、『あん!あん!』と、切なげな可愛い喘ぎ声をあげてしまう加奈子。『イヤん!変になっちゃうよ!』巧は一旦自分のペニスを引き抜く。『あ~ん!なんで抜くの?抜いちゃやだ!』『イヤって言ったじゃん、加奈子、止めてほしいのかと思って。』『違う!もう…、それは違うイヤなの!意地悪しないで!わかってるくせに…。』『お願いは?』『もうホント意地悪!…、お願い…、して!』『何を?』『も~!お願い!巧のおちんちんを加奈子のマンコに挿れて!お願い!』再び、巧は加奈子に挿入し、激しくピストンする。ひときわ高くなる加奈子の喘ぎ声。『そう!これ!これが気持ちいいの!あん!あ~!』体制を入れ替え、加奈子は仰向けになる。巧は加奈子の両足を持ち上げ、大きく股を開かせる。巧の前に、加奈子は、自分の1番大事な秘密の部分を、惜しげもなく曝け出し、自分からお尻を持ち上げて突き出す。巧は自分の逞しいペニスを無造作に加奈子の柔らかい濡れた襞に突き刺す。『あ~ん!気持ちいい!あ、あん、気持ちいいの!気持ちいの!』巧の物、奥深くまで貫かれ、加奈子は大きく仰け反る。『巧!巧!大好き!巧!あん、あん、気持いい!あ~、巧!たまんない!イっちゃう!巧!巧!加奈子イっちゃうよ?イっちゃうよ?イク~!』巧のピストンに加奈子は大股を拡げ、恍惚の表情を浮かべ、巧の首に両腕をまわしてしがみつく…。

 高校生カップル、こんな…、現実には、こんなAVのような激しいセックスはしていないのかもしれないが、それでも、あの可愛い加奈子が、無邪気な明るい笑顔を見せる加奈子が、股を開いて女の子の一番大切な部分を、巧の前に晒し、捧げ、自由にさせている…。それは多分事実。クンニくらいは当然しているだろう。加奈子が巧のペニスを自分の秘部に受け入れ、何度も何度も突かれている、それもおそらく現実。しかも1度や2度ではないのだろう。加奈子の心も身体も自由にしている巧、それを想像しながら、嫉妬し、憧れ、恋焦がれ、悶々と必死に、加奈子の名前を呼びながら何度も自慰行為に耽る自分。そんな惨めな自分を、妄想の中の加奈子は?妄想の中で、加奈子は信治に優しく微笑んでくれる。いや、そうではない。そうではないのだ。妄想の中でさえ、加奈子は冷たい視線、蔑むような、侮蔑の視線を信治に投げ落とす。あろうことか、信治の一番のコンプレックスであるマイクロペニスを、加奈子に目撃され、呆れられ嗤われる…。信治の妄想の中、加奈子は服を着たままだ。冷たい視線を信治に投げ落とす、からかうように。

『ねぇ信治くん、信治くんは加奈子のことが好きなんでしょ?』

『信治くんさ、加奈子のことオカズにしてるんでしょ?加奈子の裸を想像してるの?加奈子の裸を想像して、自分でシコシコしてるの?加奈子としたくてしたくて、変になりそうなんでしょ。だから自分でしてるの?そんなに小っちゃいおちんちんで?嗤っちゃう!』

『ほらぁ、土下座して一生懸命お願いしてみれば?パンチラくらい見せてあげようか?可哀想な信治くん、そんなに加奈子のことが好きなの?』

『信治君、加奈子と巧のセックスを想像しているの?最低!なんでそんなこと想像するの?やめてよ!気持ち悪い!頭がおかしいんじゃないの?そんなに加奈子と巧のセックスに興味があるの?見たいの?変態!おちんちん小さいくせに。』

『ねぇ、信治くん、加奈子ね、巧とセックスするんだよ?全部脱いじゃうの。裸になるんだよ。巧は全部見ちゃうの。唇も、おっぱいもお尻も太腿も、勿論あそこだって、見て触って舐めちゃうの、加奈子のこと、全部自由にするの。羨ましい?加奈子ね、巧の前で股を拡げるんだよ?男の子が絶対に触っちゃいけない女の子の大事な処、巧は優しく触ってくれるの。いっぱい舐めてくれるの。加奈子、気持よくなっちゃって、我慢できなくなって、思いっきりあそこを突き出しちゃうの。おねだりしちゃうの。加奈子のオマンコに巧のおちんちんを挿れてもらって、アンアンしちゃうの。おかわりもしちゃうんだよ。悔しい?信治君もしたい?でも出来ないもんね?羨ましい?でも無理だよね?じゃぁそのミニミニおちんちんを自分で慰めるしかないじゃんね?泣きながらせんずりするしかないもんね?ほら!シコシコしてごらん!私の目の前で。加奈子さ~ん!て情けない声出してせんずりするの!信治君にはそれしか出来ないんだから、せいぜい加奈子が股を開いて巧にしがみついている姿を想像して、シコシコしてなさい!そんな小っちゃいおちんちんじゃ一生彼女なんて出来ないでしょ?一生せんずりなんだよ、信治君は。巧は加奈子と何度もセックスするのに…。』

『加奈子さ~ん!ゴメンなさい。加奈子さんゴメンなさい…、加奈子さんのこと、大好きなんです。加奈子さ~ん…。赦して、赦して下さい…。』

信治は妄想の中、加奈子に憐れみを、赦しを請いながら、信治は自分の小さな小さなマイクロペニスを慰め続けるしかないのだ。

 しかし、その一方、信治は、現実の、教室で、女子同士戯れているクラスメートの加奈子を見て、元気で明るい、溌溂とした笑顔を遠くから見つめ、胸がキリキリと締め付けられる。自分は加奈子を汚している、貶めているという罪悪感に苛まれる。加奈子が、そんなことをするはずがないと、必死に自分の妄想にブレーキをかける。それでも、加奈子が巧に抱かれる妄想を、加奈子が巧の物になり、乱れていく妄想を…、自分が加奈子に責められる妄想を、どうしても止めることが出来なかった。

 

 余談ながら、その日のテストは、信治は頑張って何とか50点を越えた。全科目の中で、50点を越えたのは、この科目だけだった。では巧は?80点台後半。何も勉強せず、テスト前の数分、信治のまとめたノートに目を通しただけで…。