品川駅、19:40分前後。

「あっ、東海道線はムリだな」

京浜東北線に切り替えようと、優人は颯爽と階段を降りる。

「なんか倒れてるおじさんがいる」

救急隊みたいな人が2名。おじさんは50~60くらいだろうか。メガネをかけ、少し小太りといったところか。

電車が来た、ずっと見てるわけにはいかない。

足早に電車を乗る。

『10代前半の死因1位、自殺』という記事に、電車内で驚く。

我慢をすれば病気をしたり突発的に倒れる、
生きることをイヤになれば自殺してしまう。

つまりは「不寛容」な社会なんだと思う。

すべてが出来ないとまたは満たされてないと、阻害する。迫害する。

先輩の高さんがこんなこと言ってたなと、思い出す。

「紀村くんな、仕事のできるできないよりも会社に来てるだけでいいのよ。それだけで、価値があるんよ」

ついつい比較されたりしたり、自分の価値は?とか考えてしまう。

高さんのいう「マジメやな」という状態だ。

イイ人ほど先に逝くとは、こういう状態じゃないかなと思ったりする。

そんな高さんは猫には心を開く。

先輩もたくさん傷ついたんだと思う。

だから、そうポロっといってくれたんじゃないかなって。