息子の就職活動について

決まらない事に苛立ちを隠せない夫。



就活についての話をしていたが、ふと息子にこんな質問をした。



「大学4年間で、何か思い出はあるのか?」

と。



「通うだけで大変だったという思いしか無い。」

と、息子は答えた。






息子が大学に入学した年。

コロナが大流行し始めていた。



大学受験は、辛うじて普通に受けられたのが

今思えばラッキーだったが


入学式については

直前になって、中止になるなど


混乱していた。



新入生ガイダンスも

新入生歓迎会も

保護者懇談会も


全てが中止になり



初めての履修登録については


オンライン上で

誰のアドバイスも受けられない中で


息子が一人でやった。




その後の授業も全てオンラインで


YouTube配信だったり

zoomで行われたり



大学でも初めての授業形態で

それも急を要する取り組みで


授業を提供する大学も

授業を受ける大学生も


大きな混乱の中で、何とか乗り越えてきた。





コロナが感染症第二類相当と位置付けられ

外出にマスク着用が必須となった。


その後第五類へと移行し、

マスクをせずとも外出が可能となったのは


今年の5月になってからの事だ。





夫はコロナが大流行して一年間こそ在宅勤務だったが、


それ以降は電車に乗って普通に出社していた。


だから、忘れてしまったのだろうか。




大学生は、ずっと孤独の中で取り残されていた事を。



大学生だけでは無い。



小学生や中学生や高校生だって


楽しいはずの給食時、最近まで

誰とも話さず、前を向いて座り黙食していた。


合唱コンクールも無くなり

運動会も無くなり

修学旅行も無くなった。




大人にとってのコロナの3年間も、経済的影響は大きかったが、


成長途中の児童・生徒・学生にとって

身体的影響や精神的影響は計り知れない。




3年もの間、パソコンと向き合い授業をひとりで受けていた息子への


「親としての想いは何も無いのか?」

と、私は夫に


逆に質問したいくらいだ。




少しずつ、対面授業が再開され始めた頃には


息子はもう大学生活の半分以上を過ぎていた。


ずっとオンラインで済んでいた事が

対面で行われるようになり


自宅で全部済んでいた事が

電車に乗って通学する必要が出てきた。



それが、


「大変だった」と息子が言うなら、

「そうだったんだね」と親としては、ただ共感するしかない。





それなのに





夫はその息子の返事に対し、こう言い放った。


「4年間何してたんだ。」





4年間何してたか?、、、って?





自宅で


たったひとりで


パソコンに向かって


勉強していただけだよ。