高校生の頃、息子は
自分で自分の左腕にたくさんの切り傷を付けていた。
「勉強していると眠くなるから」
と息子は言ったが、それでも普通はその選択肢は無い。
高校にスクールカウンセラーが週に一度だが来校していた。
私は息子に、
「スクールカウンセラーを予約して相談した方が良いのではないか?」
と提案した。
しかし息子は
「必要無い」
と突っぱねた。
「勉強しなくちゃいけないから、寝ちゃいけないから、そうしてるのに。何を相談するのか?!」
と、激しく抵抗した。
絶対に行かない、と。
自傷行為も、Wi-Fiも、スクールカウンセラーも、
息子が現況を守ろうとする時、
必ずと言っていいほど出てくる単語【勉強】。
《それほど言うなら結果を出せ》
喉元まで出掛かって、何度も飲み込んだこの台詞。
超進学校で結果を出すには相当の努力が必要だが、そんな様子は微塵も感じられない。
どこかで
《怠けている》
と思っていた。
「何を相談するのか?!」
と息子に言われたが、当時の私には何が問題なのか?という根本的な重大な事に気が付いていなかった。
《自傷行為をやめさせたい》
《勉強して欲しい》
そんな表面的な事ばかり気にしていたのだ。
この後に及んでも
《勉強勉強という割には、やって無いではないか!》
という怒りに近い感情もあり
スマホが悪い
Wi-Fiが悪い
私はあれが悪いこれが悪いと責任を転換し、
「やれば出来るはずだ」
と息子に大きな期待を背負わせていた。
私は一体何を見ていたのか。
スクールカウンセラーに相談しようと思いついたのに、
息子の心情や息子の苦しみに寄り添う事もせず
スクールカウンセラーに拒否反応を示す息子を説得出来ずにいた。
私が1人でカウンセリングを受ければ良かったと
今さらながら、後悔している。
そうすれば
もっと早く息子を救えたかもしれなかった。
息子の本当の苦しみに気付いてやれたかもしれなかった。