息子は幼い頃とても活発だった。


生後9ヶ月と1週間で歩き始めた息子は

好奇心の塊で、


少しでも目を離すと何処へでも行き、何でも触り、イタズラばかりしていた。



当時使っていたビデオデッキのビデオカセットを入れる部分に

手を入れたり、おもちゃを入れたりして



危険だったので、カバーを付けてみたものの

そのカバーも力尽くで引き剥がし


カバーがひとつだと引き剥がしてしまうので

今度は二重に付けてみると


さすがに10ヶ月児にカバーを引き剥がす事は出来ず


諦めるかと思ったら


怒ってビデオデッキごと引っ張り、自分もビデオデッキを持ったまま、真後ろに倒れるという


とても0歳児とは思えない事をしていた。





もちろん、危険と思われる所に対策はしていた。



階段や台所にはゲートを取り付け


窓には全て防犯用のロックを取り付け


トイレの便座にもロックを取り付けて


あらゆる対策はしていたが、


突発的な息子の行動が予測出来ず、危険な事も多かったので、厳しく諭す事も多かった。


すると息子は、おどけてみせるのだ。



叱られているのに

いや、叱られているからこそ


おどけて、私を笑わせようとしていた。



私が笑うと、安心したように息子も笑い

私に抱きついてきた。



0歳児でも、叱られると不安になって母を笑顔にしようと行動するのだ。


息子はそんな赤ちゃんだった。




息子の根底には、そんな想いがあって

中学生になっても

高校生になっても


きっと息子は


《母の笑顔が見たい》


と、そう願っていたのかもしれない。



息子の成績に一喜一憂していた愚かな母は

成績が良い時だけ笑顔だったのか。


自分では意識した事も無かったが


もしかしたら


そうだったとしたら



息子はとても傷ついたに違いない。