息子の通っていた高校は、大学合格実績がとても良かった。
もちろん、今でもとても良い。
その県立高校を受験校として意識し始めたのが、今から10年ほど前。
この10年間、変わらず県のトップ高校として存在している。
先生方の指導力と優秀な生徒達の絶え間ない努力の賜物であろう。
主な国公立大学の合格者は一学年の過半数を占める。
主な有名私立大学の合格者は一学年の何倍もの数になる。
数字だけ見ていると
この高校に通って、普通にやっていれば
《どこかしらの主要な国公立大学には入れるんじゃないか?》
と思うくらいだ。
しかしその数字は単純な数字ではない。
当然、現役合格だけではなく、浪人生も含まれている。
私立大学は1人でいくつも合格を手にしている。
一学年の人数を考慮に入れる事は、ナンセンスなのだ。
何の意味も持たない。
トップ大学に合格する生徒は、おさえで受ける私立大学に次々と合格していくのだから。
高校では
【とりあえず東大】
が合言葉のように言われていた。
東大を目指して勉強していれば、
多少の進路変更があったとしても、
大抵はどこかの大学で合格を手にする事が出来るから、という事だった。
そして当然、
東大に合格する力があれば
1人でたくさんの私立大学の合格を手にする事が出来るだろう。
中高一貫校の生徒達の勉強に追いつけ追い越せ、と言わんばかりに
毎日の小テスト
予習、復習そして大量の課題。
春休みの宿題から遅れをとっていた息子は、ついて行けなかったはずだ。
それでも
その高校に入学し通っているというだけで、羨望の眼差しを向けられ
息子本人も、プライドを捨てられず
高校にしがみつくように毎日通っていた。
中学生の時『トップ高校へ』と言われて
一生懸命に勉強していたが
高校生になり『トップ大学へ』と言われて
さらに一生懸命勉強するように言われ
終わりの見えない受験戦争に
息子はどう感じていたんだろうか。
