中学生の時に通っていた塾を、高校合格同時に辞めようとしていた。
中学校時代に通っていた塾からは、
「継続して高校部の方に通った方が良いですよ。」
「このまま継続しないと、大学受験は更に厳しいものになりますよ。」
と言われた。
県立トップ高校に合格したので、その高校に所属しているというだけで
ただ、それだけで
《一番上のクラスに入れる》
という話だった。
私は、逆に県立トップ高校に進学するので、
《偏差値の高い高校にお任せしていれば充分だろう》
と、通塾は必要ないと考えていた。
高校に入れば
通学時間も、公立中学校に通うのとは比べものにならない。
中学校は歩いて直ぐの距離だったが、
これからは、駅まで自転車で行ってさらに電車に乗って行くのだ。
部活動などで、帰りが遅くなると
塾に通うのは難しいとも思っていた。
先ずは、学校の勉強や出される宿題やテストをきちんとやって欲しいとも考えていた。
そんな中、
同じ塾で、同じように日曜特訓に通っていた他の成績優秀者達4、5人のうち
1人だけは塾を続けると話していた。
その生徒は第一志望だった私立大学附属高校が不合格になり
第二志望だった別の有名な中高一貫校に進学が決まっていた。
進学するその中高一貫校も、素晴らしい学校だが
本人にとっては、不合格を経験した事でさらに勉強する気になり
「大学は絶対に合格してみせる」
「高校3年間は、勉強しかしない!」
と固く決意していた。
その生徒が、塾の体験授業に参加すると聞き
息子も一緒に、その塾の体験授業に参加させた方がいいのかな、と気持ちが揺らぎ始めた。
春休み中、毎日のように遊んでいて
高校の教科書を購入したにも関わらず
まだ宿題に手を付けていなかったのだ。
勉強する習慣を、新たに身に付けなければ
高校に入学してから大変だろうと思っていた。
ところが
体験授業の日を調べてみると、なんと
息子の一人旅の日程と完全に被っていた。
なんとなく、
夫の意味不明な怒りに巻き込まれて、
大事なスタートを無駄にしたような気がした。
今思えば、
勉強勉強と追い立てて塾へ入れる事より
一人旅をする方が有意義だ、と言えるが
その時はタイミングの悪さに心底がっかりした。
塾の事は高校に進学してから考える事にして
ひとまず、祖父母宅への一人旅の荷物の中に
高校の宿題を入れるように息子に言った。
