合格発表当日は、私と息子の2人で見に行った。



もし不合格だった場合


その足で私立高校へ行き、入学手続きをする必要があったため


その準備のための大金を抱えて、緊張しながら高校へ向かった。




電車で行ったのだが、なんと、ここでやらかしてしまった。



違う電車に乗ってしまったのだ。



いつまで経っても高校最寄りの駅名が出てこないと思い、路線図を見て


そこで気が付いた。

違う電車に乗っていたと。



合格発表開始時間丁度に到着する予定だったのだが


慌てて引き返したものの、時間は予定を大幅に超えてしまった。




やっとの思いで最寄り駅に到着した。



我が家はかなり遅れて行ったので、

人の波が逆向きになっていた。

合格発表を見て帰っていく人の流れになっていた。



すれ違う人、人、人、、、



手に大きな封筒を持っている生徒は、合格者だ。


道端の隅で立ち止まり、泣いている子もいる。


呆然と立ちすくむ子、その横でどこかへ電話している保護者。


同じ中学のクラスメイトとすれ違った。

その子は目を真っ赤に腫らしていた。




だんだんと近づく高校へと、進むのが怖くなった。



高校の門前では例の如く、塾の関係者達が列をなし、チラシや文房具を配っていたが


とてもそれらを受け取れる様な状況でもないし、そんな気分でもなかった。




いよいよ高校の門をくぐった。



発表開始時間には長蛇の列だったそうだが、

私達が行った時には、その列はなく

すんなりと、発表掲示板まで進む事が出来た。



掲示板の前に立った。



息子の番号を探すのに、なぜか

一番上の一番左端から順番に番号を追っていった。





指先は冷たくなり、喉はカラカラだった。



自分の心臓が、

周囲に聞こえるんじゃないかと思うくらい

ドンドンと速く大きな音を立てていた。




息子は、

第一志望校の国立大学附属高校の合格発表を

こんな思いで

乗り慣れない電車に乗って

たった一人で見に行ったのか、、、


そんな事を考えながら


息子の受験番号を探していた。





果たして、



そこに息子の番号があった。




その時私は思わず泣いた。


息子よ、よくやった!頑張ったね!

おめでとう!


嬉しくて、掲示板の前に息子を立たせて写真を撮った。



県立トップ高校に合格した

ここまで努力してきた息子を誇らしく思った。






・・・・・しかし、



息子はピクリとも表情を変えなかった。





周囲の親子が悲喜交々し、泣いたり、笑ったりしている中、




異様なくらい息子は無表情だった。