『アルジャーノンに花束を』という小説を読んだ事がある。
もう30年以上前の事だ。
近年ではドラマ化された事もあり、知る人も多いだろう。
私がその本に出会った時はまだ私は成人しておらず、高校を卒業したばかりだった。
読んでいて、とても泣いた事を覚えている。
主人公の辿った運命が、どこか息子と重なる気がして
最近になって、この本の事をふと思い出した。
幼稚園〜小学校とずっと嘲り笑われていた。
クラスメイト達と話が合わなかったからだろう。
声を掛けても気が付かないほど集中して、1人で砂鉄集めに夢中になる。
みんなで公園に遊びに行ってるのに、いつの間にか1人で本を読み始める。
元素記号を覚え、ひたすら元素の説明をし続ける。
偉人伝や歴史マンガを読み漁り、全て覚え、その内容を友達やその母親達に問題を出し、細かく説明をする。
そんな息子は
「変わってる」とよく言われていたが
実際、普通とは少し違う感じはしていた。
【普通とは違う】ただそれだけで
笑われていた。
中学生になり、成績が出るようになると
学校でも塾でもいきなりトップクラスになった。
そして高校生になり、成績はガタ落ちした。
《息子が一番楽しかった時期はいつだったのだろう》
そう思う時
『アルジャーノンに花束を』の主人公の運命が、私の頭をよぎる。
普通で良かったのに。
どうしてこんなに両極端な生き方になってしまったんだろう。
平凡で良かったのに。
みんなと同じで良かったのに。
