息子が中学生の頃、塾での月例テストの成績が良かったので、
「選抜クラスに行かないか」
と、声を掛けられた。
塾の各校舎から3〜4名ほどが集められ、日曜日の夜に特訓補講をやるというのだ。
通常の塾の授業よりもずっと進んだ授業をやるという。
周りの生徒達よりも、もっと進んだ授業を受けて勉強すれば、
高校受験に有利になると思った。
私は、迷わずその特訓補講に申込みをした。
中学3年生になると、塾の宿題も学校の宿題も膨大だった。
さらに、日曜日には特訓補講にも通っていた息子。
宿題に追われ、家ではずっと勉強していた。
平日は学校と塾に通い、
土曜日の夜も塾の授業があり、
日曜日の夜は特訓補講をこなす毎日。
そんなある日、塾へ向かう車の中で息子は言った。
「休みがない」
「塾を辞めたい」
中学3年生の受験学年になって、塾を辞める!?
私にはその選択肢は無かった。
「塾を辞めてどうするの?!」
この1年だけ頑張れば、レベルの高い高校へ行けるのに。
その高校へ行けば、きっとクラスメイトと話も合うし、きっと楽しいはず。
もう誰も息子の事を「変わってる」とは言わないだろう。
そう思った。
そして息子に「1年だけ頑張ろう」と言ってしまった。
