幼い頃、息子は人見知りも場所見知りもしなかった。

今もしない。


どこにいても 誰といても

家でも 外でも


息子は全く変わらない。


もちろん人によって態度を変える事もしない。


相手が先生や先輩でも 後輩や友達でも


息子はいつもフラットだ。




中学生の頃は、そんな息子は


《誰に対しても平等》


に見えていたらしく、いつも学級委員にされていた。




一見して素行の悪さの目立つ生徒がいたが、

その生徒に堂々とそして淡々と注意出来るのは、

息子だけだった。


そのためか、分からないが

その生徒とは3年間同じクラスだった。


周りの生徒が怖がって近づかないそのヤンチャな生徒は、息子とはよく話をしていた様子だった。


「勉強が出来ないと高校へ行けないから、教えてくれ」


と懇願されて、教えた事もあったようだ。




頼りにされる事も多く

中学校の先生方からの信頼も厚く

リーダーシップを発揮するタイプだと思っていた。



しかし



本人は、

「人前に出るのは嫌。」

「目立つ事は一切やりたくない。」


そう言っていつも学級委員を固辞していた。


家では本当に悲壮感を漂わせ、絶対に嫌だ!と言っていた。



それでも、他に居ないからという理由で

毎年学級委員にされるのだった。




《人と関わりたくない》


と言う息子は仕方なく、ただひたすら無心に学級委員の仕事を忠実にこなしていた。



誰に何か言われるとか

これを言ったら嫌われるかもとか

苦手な人には注意しにくいなとか



そんな感情は一切挟まなかった。

人の目など全く気にしない男なのだ。



職場で人間関係で悩む事もある私にとっては

息子の完璧なまでのフラットさが

とても羨ましく思えた。