【子は授かりもの】という。



『子は作るものではなく、天から授かるものである』という意味だと思っていた。



今でもそう思ってはいるが、最近はそこに新たな私なりの解釈が加わっている。


子は天から一時的に預かっていて、

私たち夫婦の元で幸せに暮らし、

そして

社会へと帰すべきものだ。


社会へと帰すのだ。


私達夫婦の元に、貴重な命が預けられているに過ぎない。



つまり、



就職出来る大人にするということ

世に貢献できる大人に育てるということだ。



子は



親の持ち物でも無ければ

親の装飾品でも無いのだ。




《息子へ良い教育を与えたい》

それこそが息子にとって一番大事な事だと思っていたが、

それこそ私の独りよがりだった。


息子が良い成績を取れば、自分が賞賛されたかのように酔っていた。

息子は、私の飾りではないのに。





私は息子を世に帰す事が出来るのだろうか。

世に役立つ大人に育てる事が出来たのだろうか。




社会に貢献出来る大人になってくれれば

それだけで良かったはずなのに。


大手上場企業に入社する事だけが道ではないはずなのに。



あの頃の私は、何に焦っていたんだろう。

あの頃の私は、何が不安だったんだろう。