「一緒に住むのは無理だ
これ以上は我慢できない」
夫は私にそう言った。
私は、夫の目を見ないようにして
黙って聞いていた。
息子はお風呂の時間が長い。
バイトなどで帰りが遅くなると、お風呂に入る時間も遅くなる。
そして
お風呂の中でそのまま明け方まで眠ってしまうらしい。
明け方の4時頃になると
お風呂のフタを閉める音やドアを開け閉めしている音が響く。
私も時々それで目が覚める事があるが、
夫は毎日その音をうるさく感じていて、かなりイラついていると言う。
しかも
夫の寝室の真下が風呂場という最悪な間取り。
この家を建てて20年ほどになるが
20年前、こんな事になるとは予想だにしていなかった。
こんな事なら総2階(1階と2階が同じ大きさ)にしないで、風呂場の上に部屋を作らなければよかった。
いや、最悪なのは間取りではなく
父と息子の関係の方だろう。
明け方に起こされる夫も、毎日寝不足のまま仕事に行くのも辛そうだが
疲れてお風呂で寝てしまう息子を起こす術もない(場所的にも時間的にも)
生活時間帯がズレると
「一緒に住むのは無理」というのも
仕方ないのかもしれない
ただ
夫の言葉や態度の中に棘が見えるのだ。
