今年の箱根駅伝はある意味で歴史に残る内容となりました。それも記録とかデッドヒートとかではなく、これまでの常識が覆ったところにありました。

箱根駅伝というと、「超過酷」というイメージがあり、タスキをつなぎ終わった後にはもう意識がないほどの疲れと表情になっているのが常で、レース中の険しい顔がその醍醐味でもありました。しかし、今回のぶっちぎりの総合優勝を果たした青山学院大学はこれまでのレース概念を根底から覆しました。レース中の笑顔とガッツポーズ、タスキをつなぎ終わった直後の爽快な表情と「楽しかった~やばい~」という余裕すらあるパフォーマンス。監督のキャッチフレーズが「ワクワクドキドキ」というまさに箱根駅伝らしからぬレース前の記者会見。

                                         笑顔で走る青学の藤川拓也君(4年生)

以前にTV番組で100m走を笑顔を作りながら走る実験をしていましたが、このときも明らかに実験対象者全員の記録が更新という画期的なことが起こりました。

以前、私がある団体の主催で「交通事故防止と栄養」というテーマで講演を依頼されたときに、ジョイントした自動車工学を専門にされている工学博士の先生に講演後の食事会で次のような疑問を投げかけられました。「三好先生は、講演で運転中こそ副交感神経が重要であるということをおっしゃっていましたが、私はずっと交感神経を高め緊張感が必要であると思っていました」と。

私の答えは、「バランスであり、いかに運転中にリラックスする状態、つまり副交感神経を高め交感神経とのバランスをとるかということも交通事故を減らす大きな要素です。このバランスの崩れこそイライラにつながります。交感神経で集中し副交感神経でリラックスした状態にさせることがベストな運転中の状態と言えます」。

短距離走も長距離もレースでいい結果を出すために必要なのは、「集中」といかに「緊張していく筋肉をほぐしていくか」であり、特に長距離は交感神経が高まるほど心臓の負担も大きく持久力も落ち筋肉は硬直してきます。笑顔で走ることで副交感神経の働きも促し、心肺への負担が減り体の動きが楽になるのは当然なわけです。レースに入ると闘争心(交感神経)は嫌でも高まりますから副交感神経を高めることだけを考えればいいのです。レース中であれば、「笑顔」「ここで前の選手を抜いたらヒーローになれる」とか青学の人たちがレース後のインタビューで語っていたことは、まさに副交感神経を高めることを自然とやっていたわけです。

こういった、自律神経のバランスは受験や仕事などいろんな分野で活かせると思います。

そういえば、シドニーオリンピック女子マラソンで金メダルの高橋尚子さんも試合前「ワクワクしています」と試合直前まで音楽を聴いて踊っていました。そしてレース後のインタビューで「楽しい42.195キロでした」と言っていました。