亜鉛

亜鉛は普通の食生活を送っていれば不足することはまずありません。亜鉛不足は補うよりも吸収や働きの邪魔をするものを解決した方が賢明ですが、極端なダイエットや加工食品に偏った生活を送り続けていると不足は免れません。

ガン性でない前立腺の肥大などは、亜鉛の不足が大きな原因の一つと言っていいでしょう。インスリンの形成にも不可欠なので糖尿病の原因として亜鉛の不足は注意すべきです。

薬によっても相当亜鉛を消耗させることがあり、甘いもの（砂糖ふんだんに使っているもの）なども過度に偏ると亜鉛不足は確実に起こります。鉛による亜鉛への影響も大きく、排気ガス、大気汚染はもちろんのこと白髪染め（特に外国製）、印刷インク、タバコ、ハンダ、アクセサリーなどが鉛の害として影響を受けていることもあります。

特に透析患者は味覚障害を起こしますが、これは紛れもなく亜鉛欠乏で、亜鉛を補うことで100％味覚は回復します。透析患者に貧血がみられるのも亜鉛欠乏が最も大きく関係しています。

免疫力、DNA合成、新陳代謝活性など亜鉛の関わりは数多く、解毒を始め100種類以上の酵素の働きに不可欠な栄養素でもあります。すなわち不足や欠乏によって現れる症状も多くあります。

亜鉛が不足すると細胞分裂や再生能力が低下するため、すり傷が治りにくかったり、肌の荒れやシミ、そばかすが目立ってくることもあります。爪の変形もサインの一つですが、この場合は鉄不足の場合も考えられます。魚の目などはビタミンAの不足です。ビタミンAと亜鉛は相乗効果というよりは不可欠のコンビネーションというべきでしょうか。皮膚をひっかいてミミズ腫れになりやすい場合はビタミンB6の不足です。ビタミンB6やB2はサプリメントなどでよく摂取している人が多いですが、この場合は亜鉛を多目に摂る必要があります。

亜鉛は男性ホルモンの合成に不可欠なため、性ホルモンの栄養素としては男性に注目が集まりがちですが、女性の場合も卵子に亜鉛が多く含有されていることから不妊や生理不順の原因なっていることがあります。

必要に応じて亜鉛の量を増やすときはビタミンAの量を増やすことを忘れてはいけません。亜鉛の単独あるいは亜鉛の多い食品を食べ過ぎると免疫は確実に低下します。亜鉛はカルシウムやリンと一緒に摂ることで最も良い働きをします。

いずれにしても、何でも可能な限り隅から隅まで食べることが基本です。どんな栄養素もそうですが、亜鉛が不足しているサインが出ているからといって亜鉛の多い食品（例えば牡蠣、レバー、チーズなど）を摂れば良いというものではありません。亜鉛はクロムやマンガンみたいな栄養素も働く上で欠かせないわけですから。

あらゆる食材を可能な限り全体食することが最も効率的であり体質改善の基本です。