時計遺伝子(体内時計)の研究は日進月歩ですが、多く関心が寄せられているのが対ガン治療です。

がん細胞の増殖はトランスフェリン受容体が強く関係していますが、この受容体が約24時間の生体リズムを持ちその特有のガン遺伝子に現れる量を測定したところ、夜の9時が最も多いということがわかり、抗ガン剤を脂質の膜で球状に包み込んでその表面にトランスフェリンを接着した薬剤を夜9時に投与するというようなことが試されています。

他にもがん細胞と正常細胞が増殖し始める時間のズレを応用した治療など、抗がん剤の是非賛否は別として、時間治療という新しい概念はいろんな可能性を追求できる選択肢を増やしてくれています

時間栄養学的には、カルシウムを例にあげますと、人間は朝起きると副甲状腺ホルモンが働いて骨からカルシウムを血液中に補給します。夕方には逆に血液中のカルシウムから骨に沈着する量が優位になるという生体のリズムがあります。

このような生体リズムを応用して、薬の是非は別として、骨の破壊を防ぐ薬などは最近では体内時計による生体リズムに合わせて朝服用するのが一般的になっています。ということは骨の形成を促す薬は夕方ということになります。

時間栄養学でも、朝食あたりに摂るのが定番の牛乳、ヨーグルト、小魚などは、骨のためのカルシウム補給であれば夕食に摂った方がよいということになります。

朝食に関しては、朝食を抜くとエネルギー量が少ない状態(食事誘発性熱生産量が減)ですから体温の上昇が妨げられます。またどうしても朝は炭水化物が多くなりがちです。朝食のタンパク質摂取は、特に肝臓の時計遺伝子と関係があり、肝臓を毎日体内時計の24時間周期にリセットするために必須なのです。

運動を利用して骨を作るタイミングとしては、成長ホルモンの分泌量が夕方に運動すると増えることから、例えば夕方5時に運動するならその2時間前の3時くらいにカルシウムを摂るといいということです。注:骨にはカルシウムが最も必要ということではありません。

あまり細かく考えて食事するのは私個人的には本意ではありませんが、非常に時間栄養学は面白く興味深いものですし、大切なことであるのは間違いありません。

起床時刻、就寝時間、食事時間、の規則性は大変重要です。前回でも記しましたが、どうしても仕事の関係上食事が遅くなる人は、夜11時だったら11時を貫いてください。それくらい食事時間の規則性は重要です。就寝時間の規則性も次に重要ですが、1週間ごとで起床時間が6時間ほど早くなったり遅くなったりしても時計遺伝子の活動が最もピークになるのは2時間ほどしか前後しません

あえて優先順位をつけるとしたら、やはりまずは食事時間の規則性からです。次に起床時刻の規則性の徹底。3番目に就寝時間の規則性と言えます。