相談内容)
32歳女性。原因不明の体の不調を訴える。病院を転々としたにもかかわらず原因もわからず、日々悪くなる一方であった。

ここでまず言いたいことは、

「医療は、これまで患者は栄養状態は基本的に皆同じ状態で病院を訪れるという前提で行われてきた」ということ。(正常分子医学ノートより)

生後1年になる赤ちゃんを、母乳で育てている。授乳期間が少し長くなり、微量ミネラルとたんぱく質が不足していることが心配されていた。母親は、結婚して間もなくの20代後半のときに軽い低血糖症にかかっていた。この状況でわかることは、糖分のレベルのホルモン調整が少しバランスを崩していること。カロリー不足の心配はなく少々太め。脈拍は80と少し高め、時折不整脈がみられた。血圧100―70でやや低めだが、正常の範囲。他の検査は正常。ただ、爪には白い斑点がみられるが、これは特に亜鉛とマグネシウムの不足の症状である。妊娠中も貧血の心配はなかった。肝臓、胆のう酵素も全く正常でカルシウム濃度も問題なし。サプリメントで葉酸、ビタミンB12を補給していたのが幸いして不足も見受けられない。爪の白い斑点で亜鉛の不足と甲状腺機能の障害を疑ったが問題なかった。中性脂肪は少し低め(正常範囲)。炭水化物が特に過敏ということもなく、これは新陳代謝が正常である証拠であった。しかし、血清中のマグネシウムは明らかに不足。他のミネラルも不足しているのではないかと思われた。実際、摂っていたサプリには、鉄分以外のミネラルが不足していた。

対策)
ビタミン、ミネラルをまず日常食事レベルで満遍なく食品成分表どおり摂れるように大雑把に指導。すべての栄養素を適量摂取しているという前提条件を付けた。約1ヶ月ほどでかなり良くなった。並行して行ったのが、炭水化物を少なくし、アミノ酸トリプトファンとイノシトールをサプリメントで補給。これでまず不眠が解消された。1ヵ月過ぎた頃から徐々に体調は回復してきたとのことであった。炭水化物をぎりぎりまで減らしたら、当然のごとくケトン症の症状が現れたが、これは炭水化物に代わって、体内に蓄積された脂肪をエネルギー源として利用しだした証拠である。これによって、疲れることなくかなりいい動作が可能になったが、同時に吐き気も訴えた。そこで、炭水化物のレベルを一日80グラムまで増加させた。すると、また体の不調を訴えはじめた。今度は疲労感と眠気を感じるとのことであった。そこで、また炭水化物の量を25グラムに落とした。この量が個体差的にケトン症を起こさない最低ぎりぎりの炭水化物必要摂取量であった。結果、ほぼ同年代の人と同じレベルの健康状態に近づいた。 結果、彼女にとって炭水化物が健康状態になるために不可欠な役割を果たしていることが明白になった。

要するに、炭水化物の摂り過ぎが体の不調の原因であったのである。

この例は、他の全ての医学上の検査結果が「正常」と出ても、変則的な食事内容がいかに健康を蝕むか、また従来の医療がいかに適切な診断を下せなかったかを示している。