栄養素で体質改善を目指すには、まず個体差というものを知らなければいけません。分子栄養学を学んだ方は個体差と言うとまず「カスケード理論」を思い浮かべるでしょう。
 
ビタミンCで例えられることが多いですが、例えば、AさんとBさんが同じ風邪をひきやすいという体質に悩んでいたとします。風邪をひいてしまった場合に薬はAさんとBさんにほぼ平等に効果を現わすでしょう(これを科学的に再現性が高いという)。

それに対して栄養素はその風邪自体がその人にとって体質を良くするために体の中で優先順位で何番目か?を決めます。栄養素が薬と違うところは一番必要とするところへまず働きますから、Aさんの風邪退治(インターフェロン合成)の優先順位が1番目でBさんが2番目だっとすると、Aさんの方が同じ量のビタミンCを摂っても早く結果が出る可能性が高いということになります。そこでBさんは「あのビタミンCはAさんに合っているのよ」という会話になります。

しかし、カスケード理論は奥が深くて、もしインターフェロン合成に必要なビタミンCを受け入れる第一優先の器が小さければ、そこがビタミンCで一杯になると(第一優先の症状が消えるということ)次の器(コラーゲン合成としましょう)へ流れ込むのがこの理論ですから、もし、Bさんの方が器が小さければ、同じビタミンCの量でも(Aさんの器が異常に大きければ)Bさんの方が早く風邪はよくなるということになるでしょう。この場合Bさんは省エネで得ということになります。器の小ささによっては少しのビタミンCの量でもずっと優先順位の下の方まで流れ込む超省エネの人も存在するのです。「タバコ吸うし、大した食事もしていないのにあの人風邪一つひかないね」って言われる人はそういう人かもしれません。逆にAさんの器の大きさによってはインターフェロン合成が第一優先であるのに関わらず大量にビタミンCを摂ってもなかなか一杯にならず、第二優先に行くどころか第一優先の風邪すら治らないということになるのです。
 
カスケードの段は上の方ほど供給が多く消費が少ないと言われていますが、ストレスが強く継続している人は第一優先がコルチゾールというストレス対抗ホルモンの合成かもしれません。
表面に現われている症状が強いほど優先順位が高いということではありません。もしかしたら「このビタミンC全然効かない」と文句を言っている間に自分では気付いていないもっと大事な悪いところにビタミンCは働きに行っているかもしれないのです。ちなみに薬は優先順位関係なく、現われている症状に向かいます。これが再現性の高さの差でしょう。しかし、第一優先を無視すれば、第一優先の原因が悪化し結局は第二優先、第三優先へと飛び火していく結果になるのです。薬に頼る怖ろしさでもあります。

この器の大小などの個体差は酵素と補酵素の出会い(親和力)の確率が重要になってきます(次回、体質の個体差②「酵素と補酵素」)。