インラック政権の目玉政策「最低賃金の引き上げ」による副次的影響 | アジアで競う企業と人材を応援するブログ

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昨夜、半年ぶりに日本の商社で働く友人と会った。
ヤンゴンから昨夜バンコクへ到着。
その目的は翌朝ジャカルタへ発つ必要があったことからフライトをつなぐための滞在。
夜8時半頃にバンコクへ到着し、翌朝、つまり今朝の8時過ぎにジャカルタ便で発っている。
久々の再会であったため、深夜1時過ぎまで一緒に痛飲。
朝6時にはホテルを出ると言っていたことから、4時間程度のホテル滞在であったにちがいない。
ジャカルタ郊外のある都市に数泊滞在した後はベトナムへ飛ぶと語っていた。
繊維産業を商売の相手としている彼とバンコクでほとんど会えなくなってしまった理由がある。
それはタイの人件費の高騰。
2011年の総選挙で圧勝した現与党が選挙公約として掲げた最低賃金の引き上げ。
タイではそれまでは県ごとに最低賃金が定まっていた。
県ごとに物価が違うことがその背景にあった。
それまで最も高かったのはプーケット、その次にバンコクであった。
多くの観光客が訪れるため、それによって物価が引き上げられていたといえる。
それが2013年には最低賃金が全県一律で300バーツにまで引き上げられた。
それまで最低賃金が最も低かった県では、それまでの額の2倍近くにまで引き上げられた。
多くの工場はバンコクから遠く離れた郊外にある。
人件費の高騰で閉鎖を余儀なくされた製造業も少なくない。
彼が昔からオーダーを置いていたバンコク郊外の縫製工場をその頃から使えなくなってしまった。
その後はカンボジアやミャンマーの工場を探すことになる。
そして今やバンコクは、それらの国々へ異動するための経由地の存在でしかなくなっているという。
数年前までは毎月のようにバンコクで会っていたが、今や年に1、2回の頻度にまで落ちこんでいる。
インラック政権の目玉政策であった最低賃金の引き上げは、製造業の倒産などだけではなく、副次的な影響も与えていることを改めて確認した夜となった。