夏の吹奏楽コンクールでは、楽器を車に積んで会場へ向かう機会が増えます。
意外と見落とされがちなのが車内の熱対策です。
炎天下の車内は、短時間でも想像以上の高温になることがあります。
打楽器は木材や金属、皮、糊など繊細な素材の組み合わせでできており、熱の影響を受けやすい楽器です。
本記事では、車内でどのような変化が起こりうるのか、そして今日から実践できる対策を、打楽器レンタルを専門とする弊社の知見も交えてご紹介します。
尚、想定車両はハイエースやキャラバンなどのワンボックスバンタイプとなります。
なお、梅雨から夏にかけての冷房と楽器の関係についてはこちらの記事でも解説しています。季節を通した管理の参考にあわせてご覧ください。
夏本番、車の中で起きていること
炎天下に停めた車は、外気温が30℃程度でも、車内は短時間で50℃を超えることがあります。
窓ガラスを通した日射熱が車内にこもり、外に逃げにくくなるためです。
ダッシュボード付近やリアウィンドウ周辺は、直射日光が当たり続けるため、さらに高温になりやすい場所です。
コンクール当日は、受付や搬入、他パートとの合流など、やることが重なります。エアコンを切って少しの間のつもりが、作業に追われて長時間駐車したままになる——これは、当日によくある状況です。積み下ろしの順番を後回しにした楽器ほど、車内に長くとどまることになります。
楽器のどこに影響が出るのか
高温による影響は、パーツごとに異なります。
打楽器のヘッド(打面)は、素材によって伸び・たるみが生じやすくなり、チューニングが安定しにくくなる場合があります。本番直前に音の高さが合わないと感じたら、この影響も一因かもしれません。
木製の胴(シェル)を持つ楽器は、急激な温度変化によって反りや接着部の浮きにつながることがあります。特に、車内で高温にさらされたあと、冷房の効いた涼しい会場に運び込むといった温度差の大きい移動は、木材への負担が大きくなります。
金属パーツ(スタンドのネジや金具類)も、熱による膨張でネジが締まりにくくなったり、逆に固着したりすることがあります。
鍵盤マレット等の毛糸は、湿度の変化で目に見えないレベルで膨張と収縮を繰り返します。繰り返し起こることにより毛糸が緩み、解ける原因となります。
今日からできる対策
今日からできる対策としては、以下のような工夫が挙げられます。
まず、日陰や屋根付きの駐車スペースを優先することです。
難しい場合は、フロントガラスやサイドガラスにサンシェードを使うだけでも、車内の温度上昇はかなり抑えられます。
次に、積み込みの順番です。
楽器は最後に積み、会場到着後は真っ先に降ろすようにすると、車内にとどまる時間を短くできます。
長時間の駐車が避けられない場合は、こまめに車内の空気を入れ替えることも有効です。
また、冷房の風を楽器に直接触れさせるのは避けてください。
急激な温度差は、かえって結露や木材への負担につながります。冷やすことよりも、まずは高温にさらす時間そのものを短くすることを優先してください。
弊社の現場から
自社車両による運搬を行っております弊社では、日中の積み込みはなるべく避け、夕方や出発前に積み込みを行うなどして楽器が車内に留まる時間を短くする等の工夫をしております。
それでも猛暑が続く時期は、対策だけでは防ぎきれない場合もございます。
熱による変形やひび割れなど、気になる症状がある場合は、無理に自己判断で調整せず、早めに修理のご相談をいただくことをおすすめしています。
また、遠方への運搬が難しい場合や、移動中のリスクをできるだけ減らしたい場合には、会場近くでの当日レンタルという選択肢もあります。楽器を運ばずに済むこと自体が、もっとも確実なリスク対策になる場合もあります。
まとめ
真夏の車内は、想像以上に楽器へ負担をかけます。マレットの巻き崩れ、ヘッドのたるみ、木製シェルの反りなど、症状は多岐にわたりますが、駐車場所や積み込みの順番を意識するだけでも、リスクは大きく減らせます。
梅雨や冷房による影響についても別記事で解説していますので、季節を通した楽器のコンディション管理にお役立てください。
気になる症状がある場合や、移動のリスクを減らしたい場合は、お気軽に弊社へご相談ください。
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