世界の医薬品市場は約133兆円(2018年)であり、そのうち日本市場は約9.5兆円と7.2%を占めている。しかし2014年から2018年の年平均成長率は+1.0%と、他の主要市場の成長率に比べて小さな伸び率となっている。
■2014-2018年 年平均成長率
米国 +7.2%
欧州5カ国 +4.6%
中国 +7.6%
日本 +1.0%
ソース:The Global Use of Medicine in 2019 and Outlook to 2023
これは日本の超高齢化社会に向けた、社会保障費抑制に伴う薬価抑制策かダイレクトに反映された結果であると考えている。この市場データから、日本の医薬品メーカーは日本市場に新規開発医薬品を投入しても、投資回収できない可能性が出てきている。
一般的な新薬の開発には、開発期間9~16年、開発費用は数百から1,000億円超かかると言われている。しかも、開発の成功確率は約1/25,000と非常に小さなものであり、せっかく成功した新薬により投資回収して大きく利益を稼がなければならないのは当然のことである。
となると、欧米の大きな市場で、かつ薬価が高く取れる市場での開発を優先するのは当然のことである。つまりこの流れは、日本が社会保障費の高騰を避けるために薬価を抑制することで、日本市場での新規医薬品の導入を遅らせる要因となり、結果的に日本国民が新規の素晴らしい薬品を使える時期が、数年単位で遅れていくということである。
日系医薬品会社の新規開発医薬品が、厚労省の施策によって、日本国民にすぐに届かないとは、なんとも皮肉なものである。
このような、薬価が高く取れない市場背景の中、医薬品メーカーも今後のビジネスのあり方を模索する必要がでてきた。この点においては、IoT、AIなどのテクノロジーが進展していることから、これらの技術をヘルスケアに活用したヘルステックの開発が盛んである。
今後の医薬品メーカーは、治療に資する医薬品の提供のみならず、疾患別の予防・治療・予後管理といった疾患治療のトータルソリューションを提供し、1人の健常者・患者をシームレスでケアしていく時代になっていくだろう。逆に、そのトータルソリューションを提供できなければ、医薬品企業を持続的に成長させるのは難しい時代になってきたともいえる。
自社において、このトータルソリューションのサービスの開発に貢献していきたいと考えている。