3種のシャロンのバラがある。友達から「あれはハイビスカスですか?」と聞かれたことがあるが、そう言えばハイビスカスにも似ている。シャロンのバラは英語名で日本名はむくげという。原産国は中国・インドで学術名はHibiscus syriacus と言い、ハイビスカスの仲間だ。他にフヨウやもみじ葵なども仲間らしい。もうひとつ仲間にアメリカフヨウと言われる大きな花をつける学名Hibiscus moscheutosがあり、木ではないのでクサフヨウとも呼ばれている。毎年芽を出し、夏に花を付けるので鉢植えを買い、裏庭に植えたが、今年も大きな花を咲かせている。
むくげは、日本では花の少ない夏場、茶道の世界では欠かせない花だそうだ。むくげは真の花として花器を好まず存在感がある花なのに、意外と身近にありすぎて、そんなに立派で大事な花とは思われていない。 

ところが、この花は隣国の韓国(大韓民国)では、しばしば国の象徴とされ、国章にも意匠化されている。また、韓国内ではホテルの格付けなどの星の代わりにも使用されている。
日本のさくらのように、むくげは韓国の国章に図案化されておりは国家の象徴の一つである。国章は国花のむくげを図案化し、中央には韓国の象徴である太極図をあしらい、中央下部にはハングル文字でで「대한민국」(大韓民国)と記されている。

雅歌( 英語では Song of Solomon )とは「歌の中の歌」という意味で、雅歌は単に男女間の愛の歌というだけでなく、花婿なるキリストと花嫁なる教会の間における神聖な愛を歌ったものである。その愛は、「えっ聖書にこんな文章があるの」と言われるくらい、あるところでは非常にリアルに描かれている。また、あるところでは奥深い知恵のことばによって表現されている。

 「私はシャロンのサフラン、谷のゆりの花」と歌われているが、ここでうたわれている「私」とは、花婿であるキリストではなく、花嫁である教会をを指している。

シャロン平野(学名ではエスドラエロン平原)では いたるところでサフランが咲いている。それはこの地ではなんら特別な花ではない。口語訳では「シャロンのばら」と訳しているし、文語訳では「シャロンの野花」と訳している。また、谷のゆりの花はヘブル語ではアネモネであり、これもまた特別な花ではない。以前、イスラエルに10年間おられ聖書研究をされていた牧師からアネモネの写真をいただいたが、真っ赤なアネモネで、これが聖書のいう「谷のゆりの花」と言っておられた。

故に、この聖書のことばは、私のように、自分が特別の人間ではなく、ごく平凡な人間であることを告白している花嫁のことばである。

むくげも、どこにでもある平凡な花ではあるが、隣国では国花として大切にされてように、たとえ平凡などこにでもあるような私たち人間でも、キリストの花嫁として神が愛するほど、神の目には「高価で尊い」存在なのである。平凡な中から、内側にキリストのいのちがあふれるとき、むくげの花言葉にあるような、人に変えられていく。そのように思いながら、今、庭に咲くむくげをいとおしく思う。