
同僚のデスクにあったのを借り読み

肺癌、食道癌、胆道癌、肝臓癌に直腸癌。
心臓血管に移植。
婦人科眼科整形外科、あらゆる外科=手術の成績において、日本の治療成績は非常に良いのです。
手術成績の評価は、『短期成績』と『長期成績』にわけられます。
『長期成績』の方は、例えば癌では『長期生存率』になります。
癌の場合、癌そのものの大きさ深さ、細胞の形、周りへの拡がり、リンパや血管、遠くの組織への転移の有無…いろんな基準からみて、『ここまではステージⅠにしよう』とか『早期と呼ぼう』などの基準が国際的に決まっています。
その基準にのっとって評価をすることで、どういう因子が生存率に関与するのかなどを世界中で比較検討ができるわけです。
この生存率、特に5年たった時の『5年生存率』で、日本の成績が平均して(つまり、どこの施設の報告でも)かなり良いのです。
一つの施設が飛び抜けていいのではなく、どこの施設の報告も平均して良いというのは、日本全体の水準が高いということも言っていいのではないかということです。
もうひとつ、日本の特徴は。
『短期成績』がとても良い…つまり、手術直後の死亡率が非常に低いのです。

その理由は主に3つ。
第一に、日本人の器用さと辛抱強さ。
次に、術後のケアが非常によいこと。
あと1つは、術前に、患者さんの(主病以外にも)全身的な評価が非常によく行われているために、予想される術中や術後の合併症への予防対策が考えられていること。
はじめの1つはともかく、後の2つの要因は。
『皆保険制度』により、日本ではそういう術前の検査や診療が、比較的安価に行えることで支えられているのです。
『外科』という領域で考えるなら。
日本は、高い水準の外科治療を、ほぼ誰でも受けることができる、素晴らしい国と言っていいと考えます。