日本の肛門科医の祖とも父とも言える『隅越先生』という先生が開いた肛門病センターの50周年パーティーがあった。

この隅越先生が、いったいどれだけすごいかと言うと。

とにかく、『肛門科』という分野に光を当てたこと。

それまで、痔は、医師が、古い文献や海外の文献を個々にあたりつつ、手探りだったり一子相伝(笑)で治療していたりとか。

かと思うと、『大学の偉い先生』が海外の文献から引っ張ってきた『ホワイトヘッド手術』という方法を、その後遺症のため海外ではすたれてしまってからも営営と続けていたりとか。

患者側としても、悩みがあっても気軽に相談に行くことなどとてもとてもできない時代であった。

そういう、医師にとっても患者にとってもいわば『日陰の分野』であった肛門科を。

なんと『社会保険中央病院』という立派な『総合病院』に、『肛門病センター』として堂々と、50年も前に開設したのが隅越先生なんである。

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これは、その隅越先生が肛門の病気に対する思いを『決意』として遺した言葉である。

自分がすべきなのは、1人の難しい心臓の病気を治すことではなく、たくさんの痔で悩む患者さんの助けとなること、という主旨のこの決意の言葉に、不肖私も深く深く感銘し共鳴した。

隅越先生を中心とした肛門センターでは、自分たちの知識や技術を惜し気なく研修希望の医師に披露したという点でも、画期的だったと言われている。

また、大腸肛門病学会を立ち上げ、膨大な量の論文を発表した。

その、『社会保険中央病院』の『大腸肛門病センター』50周年の記念パーティーが土曜日にあったのである。

集まったのは、日本の肛門科を牽引してきた重鎮や、現在の肛門科の主流をなす精鋭、そして社会保険中央病院大腸肛門センターで学び、日本のあちこちで活躍する若手たち。

末席に連ならせていただき、ついでに二次会まで参加して。
たくさんの先生方と、とても愉しいひとときを過ごし、今月末にある『大腸肛門病学会』に向けてのヒントなどをいろいろもらってきたのであった。