このBOSE TA-1703 アンプは40年ぐらい昔のオーディオアンプで、BOSE 1701アンプにソニー・ディスクマン用の電源を付けたモデルだと記憶しています。出力は確か25W+25W。
さっそく動作確認をしてみると左側チャンネルの音が出なかったのでバラして修理してみることにした。
このアンプをばらしてみると、プリント基板は幾つかのパートに分かれていた。具体的に信号の流れを追って記せば以下の通り。
1 入力部 RCA端子と2041オペアンプが実装されていてバスブースト回路が構成されているようだ。2041駆動用に+12Vが電源から供給されている。
2 ボリューム部 スライド式のボリュームと小型のトランジスタ類が数個ついていた。入力部の基盤から信号線とともに+12Vのラインがつながっている。
3 出力部 ディスクリートではなく出力段はこの基盤に直付けされたICのSTK4813から出力されている。
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4 電源部 STK4813駆動用のプラスマイナス25V 、入力部の基盤を駆動する12V、外部用の11V、の各出力を供給していた。
点検と修理
まず、半田割れにより接触不良があると仮定して、ほぼ全ての半田付けをやり直してみたが、症状は変わらなかった。
次にボリューム基盤と出力部基盤をつないでいた信号線を入れ替えてみた。結果は今まで音が出ていた右チャンネルに代わって左チャンネルから音が出るようになった。
このことから出力部の動作は左右チャンネル共に正常なことが分かった。
次に電源基盤を点検した。この基盤には出力電圧が印字されていたので、その通りに出力されているか測定してみた。結果、入力部の基盤へ供給されるはずの12Vが出ておらず0Vだった。
↓その回路の部品群
78L12が内部でアースにショートして、「R」と記した抵抗も中で断線している模様。
恐らくこの抵抗と焼き切れたものらしく、カラーコードは変色して数値が判読できない状態だった。仕方ないのでオームの法則であらかたの抵抗値を算出してから実際に取り付けて抵抗値を決定した。そしてコンデンサ2個と78L12新品したところ正常に12Vが出るようになった。「R」の抵抗は焼損防止のため容量を1/4Wから1Wへ強化しておいた。
その状態で、ダメもとでスピーカーをつないて音を鳴らしてみると左右チャンネル両方から音が出るようになっていた。
接続を代えればモノラル動作もするし、どうやら直ってしまったらしい(笑)。
念のため、再び「R」の抵抗を外してみると、修理前と同様に右チャンネルから音がでなくなったので、故障原因は入力基盤へ12Vが供給されなかった為だと判断した。
最後に40年物の電解コンデンサを全て新しい物に交換した。
最近は秋葉原を歩いても自作オーディオ用の部品が少なくなってきたように思う。カーステレオあたりの内蔵アンプの音を聞いても昔とは隔絶の感があるほど向上しているので当然かもしれない。
修理部品の金額は合計で2000円はかからなかったし、実際に壊れていた回路の部品だけなら200円もしなかった。このアンプ、生き返らせることが出来たのでたいへん満足してる。オームの法則で計算しながらパズルをやってるみたいで結構面白かった。




