(専用実施権)
意匠法第27条第1項
意匠権者は、その意匠権について専用実施権を設定することができる。ただし、本意匠又は関連意匠の意匠権についての専用実施権は、本意匠及びすべての関連意匠の意匠権について、同一の者に対して同時に設定する場合に限り、設定することができる。
意匠権者が専用実施権を設定することができる。
ただし、「関連意匠の意匠権が存在する意匠権(=本意匠の意匠権)」または「関連意匠の意匠権」についての専用実施権は、「関連意匠の意匠権が存在する意匠権(=本意匠の意匠権)」及び「関連意匠の意匠権」について同一の者に同時に設定する場合に限り、専用実施権を設定することができる。
(試験問題)本意匠イ及びその関連意匠ロの意匠権者は、イの意匠権 及びすべての関連意匠の意匠権について、同一の者に対して同時に設定する場合 についてのみ専用実施権を設定することができる。(H26出題、第48問、×→○へ修文)
(試験問題)甲の登録意匠イが、当該意匠登録出願の日前の出願に係る乙の特許発明ロを利用するものである場合、甲は、乙の許諾を受けることなく、イに係る意匠権についての専用実施権の設定をすることができる。(H25出題、第8問、○)
・・甲の登録意匠イが、当該意匠登録出願の日前の出願に係る乙の特許発明ロを利用するものである場合、登録意匠イの実施は制限を受けることになるが、その登録意匠イの専用使用権の設定については、乙の許諾を受ける必要はない点に注意。
(試験問題)本意匠イ及びその関連意匠ロの意匠権者甲は、ロの意匠権の全範囲についての通常実施権を乙に許諾した後、イ及びロの意匠権について専用実施権を丙に設定することができる。(H25出題、38問、○)
・・本意匠又は関連意匠の意匠権についての専用実施権は、本意匠及びすべての関連意匠の意匠権について、同一の者に対して同時に設定する場合に限り設定することができる。
(試験問題)複数のスピーカーボックスの形状について、意匠に係る物品を「一組のスピーカーボックスセット」とする組物の意匠として意匠登録を受けた。このとき、その内の1つのスピーカーボックスの形状のみについて専用実施権を設定することができる場合 がある はない。(H20出題、第2問、×→○へ修文)
・・組物全体で統一があるので「組物意匠」であり、そのうちの一つについて専用実施権を設定することはできない。
(試験問題)甲が、複数のゴルフクラブの形状について、意匠に係る物品を「一組のゴルフクラブセット」とする組物の意匠として意匠登録を受けたとき、その内の1つのゴルフクラブの形状のみについて専用実施権を設定することができる場合 がある はない。(H18出題、第25問、×→○へ修文)
・・組物の意匠は、組物全体で統一があるとき、一つの意匠として登録されるものである点に注意。
(試験問題)意匠権者は、その意匠権について質権を設定した場合であっても、当該質権者の承諾を得ることなく、その意匠権について専用実施権を設定することができる。(H17出題、第32問、○)
・・質権を設定した後、その質権が意匠権の専用実施権の設定に影響を及ぼす規定はない。
(試験問題)意匠権者は、その登録意匠が、その意匠登録出願の日前の出願に係る他人の登録意匠を利用するものである場合においても、当該他人の承諾を得ることなく、自己の意匠権について専用実施権の設定登録の手続をすることができる。(H17出題、第42問、○)
・・専用実施権の設定の登録は影響を受けない。
意匠法第27条第2項
専用実施権者は、設定行為で定めた範囲内において、業としてその登録意匠又はこれに類似する意匠の実施をする権利を専有する。
専用実施権者は、その「登録意匠」又は「これに類似する意匠」を実施する権利を「専有」する。
(試験問題)甲は意匠権Xの専用実施権者であり、意匠権Xに係る登録意匠の実施品である物品Aを製造販売している。乙は、当該登録意匠に類似する物品Bを製造し、輸出している。
甲は、乙に対し、単独で、乙の行為に対する実施料相当額を、自己が受けた損害の額として、その賠償を請求すること はできない ができる。(H30出題、意匠第10問、×→○へ修文)
(試験問題)甲は意匠権Xの専用実施権者であり、意匠権Xに係る登録意匠の実施品である物品Aを製造販売している。乙は、当該登録意匠に類似する物品Bを製造し、輸出している。
甲は、乙に対し、単独で、乙の行為の差止めを請求することができる。(H30出題、意匠第10問、○)
意匠法第27条第3項
本意匠の意匠権が第44条第4項の規定により消滅したとき、無効にすべき旨の審決が確定したとき、又は放棄されたときは、当該本意匠に係る関連意匠の意匠権についての専用実施権は、すべての関連意匠の意匠権について同一の者に対して同時に設定する場合に限り、設定することができる。
本意匠の意匠権が、
①意匠法第44条第4項により消滅した(登録料が追納できる期間中にその登録料及び割増登録料を納付しないとき、その意匠権は遡及消滅。)
②本意匠を無効にすべき旨の審決が確定した
③本意匠の意匠権が放棄された
ことにより、本意匠が消滅したとき、
当該本意匠に係る複数の関連意匠の意匠権の専用実施権は、その複数の関連意匠のすべての意匠権の専用実施権が同一の者に対して同時に設定する場合に限り、設定することができる。
(試験問題)本意匠の意匠権が料金不納付のため消滅した場合、その本意匠に係る全ての関連意匠の意匠権について、同一の者に対して同時であれば、それらの意匠権の専用実施権を設定することができる。(H23出題、第6問、○)
意匠法第27条第4項
特許法第77条第3項から第5項まで(移転等)、第97条第2項(放棄)並びに第98条第1項第2号及び第2項(登録の効果)の規定は、専用実施権に準用する。
意匠権の専用実施権の「移転」、「放棄」、「登録しなければ効力を生じない」は特許法の規定を準用することを規定。
>>>>>
(参考)
(専用実施権)
特許法第77条第3項
専用実施権は、実施の事業とともにする場合、特許権者の承諾を得た場合及び相続その他の一般承継の場合に限り、移転することができる。
特許法第77条第4項
専用実施権者は、特許権者の承諾を得た場合に限り、その専用実施権について質権を設定し、又は他人に通常実施権を許諾することができる。
特許法第77条第5項
第73条の規定は、専用実施権に準用する。
(特許権等の放棄)
特許法第97条第2項
専用実施権者は、質権者又は第77条第4項の規定による通常実施権者があるときは、これらの者の承諾を得た場合に限り、その専用実施権を放棄することができる。
(登録の効果)
特許法第98条第1項
次に掲げる事項は、登録しなければ、その効力を生じない。
一 特許権の移転(相続その他の一般承継によるものを除く。)、信託による変更、放棄による消滅又は処分の制限
二 専用実施権の設定、移転(相続その他の一般承継によるものを除く。)、変更、消滅(混同又は特許権の消滅によるものを除く。)又は処分の制限
三 特許権又は専用実施権を目的とする質権の設定、移転(相続その他の一般承継によるものを除く。)、変更、消滅(混同又は担保する債権の消滅によるものを除く。)又は処分の制限
特許法第98条第2項
前項各号の相続その他の一般承継の場合は、遅滞なく、その旨を特許庁長官に届け出なければならない。
<<<<<
