<2017年10月1日、アメブロ初掲載 ©>
 
意匠法第4条第1項
  意匠登録を受ける権利を有する者の意に反して第3条第1項第1号又は第2号に該当するに至つた意匠は、その該当するに至つた日から6月以内にその者がした意匠登録出願に係る意匠についての同条第一項及び第二項の規定の適用については、同条第一項第一号又は第二号に該当するに至らなかつたものとみなす。
 
 意匠法第3条第1項第1号に該当する意匠とは、意匠登録出願前に国内又は外国で公然知られた意匠。(「新規性」がない意匠)
 意匠法第3条第1項第2号に該当する意匠とは、意匠登録出願前に国内又は外国で公知となった意匠。(「新規性」がない意匠)
 意匠法第3条第2項に該当する意匠とは、容易に創作することができる意匠。
 「意匠登録を受ける権利」を有する者の意に反して、意匠登録出願前に公然と知られた意匠、公知となった意匠が、その公然、公知となった日から6月以内に意匠登録出願された場合、新規性がない意匠、容易に創作することができる意匠には該当するに至らなかったとみなされる。
 
(試験問題)甲は、新製品を開発し、その意匠イに係る意匠登録出願をした。ところが、その出願の4月後、意匠イが出願の3日前に自社ホームページ上で公開されていたことが発覚した。これは、甲の社内での出願時期についての連絡が遅れたことから、ホームページの管理を委託している会社へ、意匠イの公開時期の調整指示が伝わらなかったことが原因であった。この場合、このホームページの公開の事実について意匠法第4条第1項の規定の適用を受けることによって、意匠イについて意匠登録を受けることができる場合がある。(H29出題、意匠第3問、○)
・・意匠法を受ける権利を有する者の意に反する公知は、その公知に至った日から6月以内に出願すれば、意匠法第4条第1項(意匠の新規性の喪失の例外)の規定の適用を受けることができる場合がある。
 
意匠法第4条第2項
  意匠登録を受ける権利を有する者の行為に起因して第三条第一項第一号又は第二号に該当するに至つた意匠(発明、実用新案、意匠又は商標に関する公報に掲載されたことにより同条第一項第一号又は第二号に該当するに至つたものを除く。)も、その該当するに至つた日から6月以内にその者がした意匠登録出願に係る意匠についての同条第一項及び第二項の規定の適用については、前項と同様とする。
 
(試験問題)甲は、自ら創作したキャラクターの画像イのみをインターネット上で公開した後、そのキャラクターの画像イをそのままプリントしたTシャツを販売した。売れ行きが好調で、かつ画像イの公開から6月以内であったことから、意匠権取得のため、そのTシャツの意匠ロに係る意匠登録出願をすることにした。この場合、最先の画像イの公開の事実にういて意匠法第4条第2項の適用を受けることにより、意匠ロについて意匠登録を受けることができる場合 がある はない(H29出題、意匠第3問、×→○へ修文)
・・Tシャツの意匠ロは、意匠法上の意匠には該当しない。
 
(試験問題)甲は、意匠イに係る意匠登録出願をしようとしたところ、イは、3月前に自ら公開した自己の意匠ロと第三者の公然知られた意匠ハに基づき容易に意匠の創作をすることができた意匠に該当するものであった。この場合、甲は、ロの公開から6月以内に、ロについて意匠法第4条第2項の規定の適用を受けるイに係る意匠登録出願をすることにより、イがロの公開に起因して意匠法第3条第2項に規定する意匠に該当するとして、当該出願が拒絶されることはない。(H25出題、第17問、〇)
 
(試験問題)甲は、意匠イに係る意匠登録出願をしようとしたところ、イに類似する自己の意匠ロを3月前に自ら公開していた。この場合、甲はロの公開から6月以内に、ロについて意匠法第4条第2項の規定の適用を受けるイに係る意匠登録出願をすることにより、イがロの公開に起因して意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとして、当該出願が拒絶されることはない。(H25出題、第17問、〇)
 
(試験問題)猫の写真を刊行物に掲載した後に、その猫の写真を使用したカレンダーの意匠について意匠登録出願をするとき、当該出願人は、その猫の写真の公表に基づき意匠法第4条(意匠の新規性の喪失の例外)の規定の適用を受けることができない。(H21出題、第11問、○)
・・写真は意匠法上の物品ではない。写真には意匠法は適用されない点に注意。
 
(試験問題)甲は、独自に創作した意匠イを自ら刊行物に公表した後、イについての意匠登録を受ける権利を乙に譲渡し、乙がイについて意匠登録出願Aをした。この場合において、乙はAに係るイについて意匠法第4条第2項の規定の適用を受けることができる場合がある。(H18出題、第21問、○)
 
意匠法第4条第3項
  前項の規定の適用を受けようとする者は、その旨を記載した書面を意匠登録出願と同時に特許庁長官に提出し、かつ、第三条第一項第一号又は第二号に該当するに至つた意匠が前項の規定の適用を受けることができる意匠であることを証明する書面(次項において「証明書」という。)を意匠登録出願の日から30日以内に特許庁長官に提出しなければならない。
 
(試験問題)甲は、意匠イに係る意匠登録出願をした翌日に、イを当該出願の3月前に自ら公開していたことに気付いた。この場合、甲は、イについて意匠法第4条第2項の規定を受けようとする旨を記載した書面 及び を意匠登録出願と同時に特許庁長官に提出し、かつ 、イが当該規定の適用を受けることができる意匠であることを証明する書面を、当該出願の日から30日以内に特許庁長官に提出することができる。(H25出題、第17問、×→○へ修文)
 
(試験問題)甲は、自ら創作した意匠イを刊行物に記載して公表した後、イについて意匠法第4条第2項の規定の適用を受けるための適法な手続をして意匠登録出願Aをした。このとき、甲は、乙がイの公表後であってAの出願前にイを刊行物に発表していても、イについて意匠登録を受けることができる場合はない ある(H20出題、第39問、×→○へ修文)
・・甲が自ら創作した意匠イを刊行物に記載して公表した後、「新規性喪失の例外」の規定の適用を受けるための適法な手続をして意匠登録出願Aをした。その刊行物公表と出願の間に、乙が意匠イを刊行物公表した場合、この意匠イは乙により新規性を喪失したとみなされ、新規性喪失の例外の規定の提供を受けることができる。
 
(意匠法審査便覧 10.37の2)
2.意匠法第4条第2項の「該当するに至った日」と意匠登録出願の間に第三者が「該当 するに至った意匠」と同一の意匠を公開した場合には、その意匠は第三者の公開によっ て意匠法第3条第1項第1号又は第2号に該当したものとする。
 
(試験問題)甲は、独自に創作した意匠イを自ら刊行物に公表した後、イについて意匠登録出願Aをした。甲は、イについて新規性喪失の例外の規定の適用を受けようとするとき、Aと同時にその旨を記載した書面を特許庁長官に提出し、かつ、イがその規定の適用を受けることができる意匠であることを証明する書面をAの出願の日から30日以内特許庁長官に提供しなければならない。(H18出題、第21問、○)
・・新規性喪失の例外の適用を受けるためには、①出願と同時にその旨を記載した書面を特許庁長官に提出し、②新規性喪失の例外の適用を受けることができる意匠であることを証明する書面(証明書)を出願の日から30日以内に長官に提出する。
 
意匠法第4条第4項
  証明書を提出する者がその責めに帰することができない理由により前項に規定する期間内に証明書を提出することができないときは、同項の規定にかかわらず、その理由がなくなつた日から14日(在外者にあつては、2月)以内でその期間の経過後六月以内にその証明書を特許庁長官に提出することができる。