(差止請求権)

特許法第100条第1項

 特許権者又は専用実施権者は、自己の特許権又は専用実施権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害を停止又は予防を請求することができる。

 

 特許権者または専用実施権者は、自己の特許権又は専用実施権を侵害する者又は将来侵害する恐れがある者に対して、それらの者の故意又は過失を問わずに、その侵害の停止又は予防を請求することができる。

 「差止請求権」(特許法第100条)は、「補償金請求権」(特許法第65条)とは異なり、事前の「警告」が必要ない点に注意。

 ただし、差止請求権の行使は、特許権が存続している必要がある。

 

 特許権者は、その特許権について専用実施権を設定したときであっても、特許権に基づく差止請求権を行使できる。(最判平17.6.17「生体高分子事件」)

 

(試験問題)特許権侵害訴訟において、特許権者が、原告となって、特許権を侵害する者を被告として、特許法第100条に基づいて差止請求を、民法第709条に基づいて損害賠償を請求する場合、原告は、いずれの請求においても、当該特許権を侵害したことについての被告の故意又は過失を立証する必要 がある はない(H29出題、特許実用新案第12問、×→○へ修文)

 

(試験問題)故意及び過失なく特許権を侵害したことにより特許権者の業務上の信用を害した者に対しては、裁判所は、その侵害の停止を命ずることはできるが、特許権者の業務上の信用を回復するのに必要な措置を命ずることはできない。(H26出題、第42問、○)

・・故意又は過失により特許権者又は専用実施権者の信用を害した者に対しては、裁判所は、特許権者又は専用実施権者の請求により、業務上の信用を回復するのに必要な措置を命ずることができる。

・・故意又は過失なく特許権者又は専用実施権者の信用を害した者に対しては、裁判所は、特許権者又は専用実施権者の請求があっても、業務上の信用を回復するのに必要な措置を命ずることはできない。

 

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(参考)
(信用回復の措置)
特許法第106条
 故意又は過失により特許権又は専用実施権を侵害したことにより特許権者又は専用実施権者の業務上の信用を害した者に対しては、裁判所は、特許権者又は専用実施権者の請求により、損害の賠償に代え、又は損害の賠償とともに、特許権者又は専用実施権者の業務上の信用を回復するのに必要な措置を命ずることができる。
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(試験問題)他人の特許権を侵害した者は、その侵害の行為について過失があったものと推定されるところから、その者が当該特許権に基づく差止請求権の行使を逃れるためには過失がなかったことを立証しなければならない との規定はない(H25出題、第57問、×→○へ修文)

・・他人の特許権を侵害した者のその侵害の行為について過失を推定する規定はあるが(特許法第103条)、他人の特許権を侵害した者がその特許権に基づく差止請求権の行使を逃れるための過失の立証の規定はない。

 

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(参考)

(過失の推定)

特許法第103条

 他人の特許権又は専用実施権を侵害した者は、その侵害の行為について過失があったものと推定する。

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(試験問題)特許権者は、自己の特許権を侵害するおそれがある者に対し、その侵害の予防を請求することができる。(H24出題、第12問

、○)

 

(試験問題)特許権者は、その特許権について地理的範囲をある地域に限定して専用実施権を設定してその登録がされた場合、その地域においては、当該特許権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、 その特許権に基づく差止請求権を行使することが できる できない(H20出題、第10問、×→○へ修文)

・・特許権者又は専用実施権者は、当該特許権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、差止請求権を行使することができる。

 

(試験問題)特許権者は、その特許権の全部について専用実施権を設定したときであっても、当該特許権に基づく差止請求権の行使をすることができる場合がある。(H19出題、第16問、〇)

・・生体高分子事件(最判平17.6.17)

 

(試験問題)特許権者との契約により独占的実施が認められた通常実施権は、特許権を侵害する者に対して、 差止請求権及び損害賠償請求権を行使すること はできない ができる(H17出題、第23問、×→○へ修文)

・・特許法には、差止請求権の規定はあるが(特許法第100条第1項)、損害賠償請求権の規定はなく、民法第709条が適用される。

(独占的通常実施権者は差止請求権が行使できるのか?)

 

(試験問題)特許権の移転の登録により、当該特許権の過去の侵害行為により発生した損害請求権も同時に移転する という規定はない

(H17出題、第23問、×→○へ修文)