(特許権等の放棄)

特許法第97条第1項

 特許権者は、専用実施権者、質権者又は第35条第1項、第77条第4項若しくは第78条第1項の規定による通常実施権者があるときは、これらの者の承諾を得た場合に限り、その特許権を放棄することができる。

 

 特許権者は、専用実施権者質権者又は先使用による通常実施権者を除いた通常実施権者の承諾を得た場合に限り、その特許権を放棄することができる。

 

 通常実施権者とは以下の4種類。

・ 職務発明に係る特許権についての通常実施権者(特許法第35条第1項)

・ 専用実施権者が許諾した通常実施権者(特許法第77条第4項)

・ 特許権者が許諾した通常実施権者(特許法第78条第1項)

・ 先使用による通常実施権者(特許法第79条)

 

(試験問題)特許権が共有に係るときは、各共有者は、自らの持分を放棄する場合には、他の共有者の同意を得なければならない との規定はない(H30出題、特許・実用新案第14問、×→○へ修文)

・・専用実施権者、質権者又は先使用による通常実施権者を除いた通常実施権者の承諾を得た場合に限り、その特許権を放棄することができるが、自らの持分を放棄する場合に他の共有者の同意を得なければならないとの規定はない。

 

(試験問題)特許権Aの権利者である甲は、特許権Aについて乙に専用実施権を設定し、その専用実施権の設定の登録がされ、その後、乙は、その専用実施権につき、甲の承諾を得て、丙に通常実施権を許諾した。

 甲が、特許権Aを放棄するためには、乙の承諾とともに丙の承諾を得る必要がある。(H29出題、特許実用新案第16問、〇)

 

(試験問題)特許権者は、専用実施権者があるときは、専用実施権者の承諾を得なければ、特許権を放棄することができず、また、特許権を放棄したことによる専用実施権の消滅は、当該消滅の登録を しなければその効力を生じない しなくてもその効力を生じる(H25出題、第48問、×→○へ修文)

・・特許権者は、専用実施権者の承諾を得なければ特許権を放棄することができない。

・・専用実施権の設定、移転(相続その他一般承継除く)、変更、消滅又は処分の制限は、登録しなければその効力を生じない。

・・特許権の放棄による専用実施権の消滅については、登録しなくてもその効力を生じる点に注意。

 

>>>>>

(登録の効果)
特許法第98条第1項
 次に掲げる事項は、登録しなければ、その効力を生じない。
一 特許権の移転(相続その他の一般承継によるものを除く。)、信託による変更、放棄による消滅又は処分の制限
二 専用実施権の設定、移転(相続その他の一般承継によるものを除く。)、変更、消滅(混同又は特許権の消滅によるものを除く。)又は処分の制限
三 特許権又は専用実施権を目的とする質権の設定、移転(相続その他の一般承継によるものを除く。)、変更、消滅(混同又は担保する債権の消滅によるものを除く。)又は処分の制限
 
特許法第98条第2項
 前項各号の相続その他の一般承継の場合は、遅滞なく、その旨を特許庁長官に届け出なければならない。

<<<<<

 

(試験問題)特許権者は、特許法第35条第1項(職務発明)の規定による通常実施権者がある場合には、通常実施権者の承諾を得なければ、その特許権を放棄することができない。(H22出題、第21問、○)

・・特許権者は、専用実施権者、質権者又は第35条第1項、第77条第4項若しくは第78条第1項の規定による通常実施権者があるときは、これらの者の承諾を得た場合に限り、その特許権を放棄することができる。 

 

(試験問題)特許権者は、当該特許権について通常実施権がある場合において、当該特許権を放棄するときは、 先使用による通常実施権者を除いて いかなる場合であっても、常に、当該通常実施権者の承諾を得なければならない。

(H20出題、第45問、×→○へ修文)