(手続の却下)

第18条第1項

 特許庁長官は、第17条第3項の規定により手続の補正をすべきことを命じた者が同項の規定により指定した期間内にその補正をしないとき、又は特許権の設定の登録を受けるものが、第108条第1項に規定する期間内に特許料を納付しないときは、その手続を却下することができる。

 

 特許庁長官が、手続の却下(いわゆる門前払い。)ができるのは、①補正命令に応じない、②特許料が納付されない、の2種類。

 

 特許出願人が特許出願後、特17条3項の規定に基づき特許庁長官から補正を命じられたが補正をしなかったときは、特許庁長官は、特18条1項の規定に基づき補正却下することができる。(補正を命じるのは特許庁長官。)

 

 

(パターン1)

 特許庁長官が特許出願人に補正命令。(特17条3項)

   ↓

 特許出願人が補正しない。(補正命令に違反)

   ↓

 特許庁長官は補正却下できる。(特18条1項)

 

 

(パターン2)

 特許出願人が特許出願。

   ↓

 特許すべき査定、または、審決の謄本の送達から30日以内に特許料が納付されない。(特許料の納付期限に関する規定(特許法第108条1項)に違反)

   ↓

 特許庁長官はその手続を却下できる。(特18条1項)

 

 

○手続の却下の効果

 

 特許出願が「却下」されたときは、当該特許出願には先願の地位はない。(特39条5項)

 

 補償金請求権は、特許権が設定された後でなければ行使できない。(特65条2項)

 すなわち、特許出願が却下されれば、補償金請求権は消滅する。

 

 先の出願に基づき国内優先権を主張する場合、先の出願が放棄、取下げ又は「却下」されている場合、先の出願に基づく国内優先権を主張することはできない。(特41条1項3号)

 

(注意点)

 先の出願が出願公開された後、特許庁長官から補正が命じられたが補正せずに却下となった場合であっても、先の出願の「拡大された先願の地位」(後の出願の出願後に公開された先の出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲、明細書又は図面に記載された発明と同一の発明の後願については特許を受けることができない。)があることに注意。

 

 先の出願が特許出願

  ↓

 先の出願の特許請求の範囲、明細書又は図面に記載された発明と同一の発明に係る後の出願を特許出願(先の出願と後の出願の出願人が同一の者でない。)

  ↓

 先の出願が公開された。

  ↓

 先の出願に補正命令、補正せずに却下。

  ↓

 後の出願は先の出願の「拡大された先願の地位」により、特許を受けることができない。 

 

(試験問題)特許権の設定の登録を受ける株式会社甲が、特許法第108条第1項(特許料の納付期限)に規定する期間内に特許料を納付しない場合、特許庁長官は、当該特許出願を却下することができる。(H20出題、第31問、○)

 

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(参考)

第17条第3項

 特許庁長官は、次に掲げる場合は、相当の期間を指定して、手続の補正をすべきことを命ずることができる。

 一 手続が第7条第1項から第3項まで又は第9条の規定に違反しているとき。

 二 手続がこの法律又はこの法律に基づく命令で定める方式に違反しているとき。

 

(参考)特許法第108条第1項

 前条第1項の規定による第1年から第3年までの各年分の特許料は、特許をすべき旨の査定または審決の謄本の送達があった日から30日以内に一時に納付しなければならない。

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第18条第2項

 特許庁長官は、第17条第3項の規定により第195条第3項の規定による手数料の納付をすべきことを命じた特許出願人が第17条第3項の規定により指定した期間内にその手数料の納付をしないときは、当該特許出願を却下することができる。

 

 特許出願人が補正命令を受けた後、指定した期間内に、補正により増加した請求項について手数料を納付しなかった場合、特許庁長官は、当該特許出願を却下することができる。

 

(試験問題)特許権の設定の登録を受ける株式会社甲が、特許法第108条第1項(特許料の納付期限)に規定する期間内に特許料を納付しない場合、特許庁長官は、当該特許出願を却下することができる。(H20出題、第31問、○)

 

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(参考)

特許法第17条第3項

 特許庁長官は、次に掲げる場合は、相当の期間を指定して、手続の補正をすべきことを命ずることができる。

 一 手続が第7条第1項から第3項まで又は第9条の規定に違反しているとき。

 二 手続がこの法律又はこの法律に基づく命令で定める方式に違反しているとき。

 

(参考)

特許法第195条第3項

 特許出願人でない者が出願審査の請求をした後において、当該特許出願の願書に添付した特許請求の範囲について補正により請求項の数が増加したときは、その増加した請求項について前項の規定により納付すべき出願審査の請求の手数料は、同項の規定にかかわらず、特許出願人が納付しなければならない。

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