男性Aのお店はグルメサイトでも紹介され、予約を入れないと入れない人気店。
ある日、とある客から予約の電話が入る。
客B「来週の月曜日、夜7時から10人で、1万円のコースを予約したいんですが。」
男性Aは「畏まりました。」と快く応じる。
ところが、当日の予約の5分前に…。
客B「すみません。急に行けなくなってしまったのでキャンセルさせて下さい。」
しかし、これには男性Aも困惑し、「直前にキャンセルされても困ります!来ないならキャンセル料として10万円払って下さい!」と督促するも客Bからは「キャンセルしたらキャンセル料を払えと言われていない以上、キャンセル料は払えません!」と言われてしまう。
果たして、予約当日にドタキャンをされた場合、キャンセル料をいくら払ってもらえるのか?
北村弁護士の見解:3万円
「まずこれは3万円払ってもらいます。契約っていうのは、一旦締結すれば守らなければいけません。当然飲食物でもキャンセル自由ではありません。だから材料代は無駄になってますね。飲食店の原価率が大体3割から4割といわれてますから、最低でも3割の3万円は払ってもらえるだろうと。」
大渕弁護士の見解:3万円
「過去に類似の判例で、事業者に生ずべき平均的な損害の額が判断されました。そこでは、一人当たりの料金の3割に予定人数を乗じた額という風に判断されましたので、今回もそれに準じて、3割という風に考えました。」
北村・大渕弁護士の見解はこれが直前ではなくて「2~3日程度前」なら合理的だが、予約当日の5分前では店側も仕込みが終わってあとは客に提供する準備が粗方終わっている段階に到達していると考えられる。と言うことは満額レベルのキャンセル料を請求出来るだけの合理的な理由があるものと考えられる。
菊地弁護士の見解:10万円
「5分前っていうのは、ちょっと早く行くお客さんだったらもう現れてるでしょう。だから食事が始まってませんじゃなくてもう実質これはもうスタートしちゃってるんですよ。もう5分前だと。で、ただ行かなかっただけですから、来て食わないで帰った、これと同じです。なんら変わるところはない。約束通りの10万円全部ください。」
菊地弁護士の見解は極めて合理的。上述の通り、予約当日の5分前にキャンセルすると言うことは店側は客に料理を提供する準備が粗方終わっている段階に到達していると考えられるため、少なくとも料理については全て無駄になってしまうと言うことになってしまう。また、客Bらが予約しなければ他の客を予約させることも出来たことに伴う損失が発生することも考えられるため、これらを考慮した場合、満額のキャンセル料で対応を検討するべき事案である。
本村弁護士の見解:0円
「まずお店側が、堂々とキャンセル料を請求できる場合というのは、事前にキャンセル料の取り決めをしていた場合だけです。で実際にキャンセル料を請求できる場合どんな場合があるかというと、例えばですけども、お店を貸切にしていた場合とか、あるいは予約に対応するために、お店側がアルバイトの数を増やしていたのにキャンセルされたとか。こういう場合だったら、お店の損害が明らかですから、損害賠償義務が発生するでしょう。」
本村弁護士の見解は契約を根本から否定する見解であり、全然話にならない。しかも、男性Aはこの客Bらの為に他の客の予約を断ったとまで言っていると言うことは貸切にしていた可能性も十二分にある。それで予約当日の5分前にドタキャンされ、キャンセル料が発生しない方がおかしい。また、本村弁護士は「キャンセル料を請求出来るのはその取り決めがなければならない」と言うが、一々そんな取り決めをしている店があるのかも疑問が残る。