本日は青森市に足を運んで糖尿病の学術講演会を聞きに行った。だが、その行きも帰りも一部で吹雪いていたので車の運転には細心の注意を払う必要があったがな(しかも、暗かったしな。)。
内容についてはこれまでの糖尿病治療におけるインスリン強化療法とそのデメリット、その後の糖尿病治療の変遷、そして、新機序の糖尿病治療薬の紹介と言う内容であった。インスリン強化療法とは嘗て血糖値を下げることに重きを置いた1型・2型糖尿病における治療法の一であるが、あまりにも血糖値を下げる目的に縛られ過ぎて低血糖症状の処置をぞんざいにして死者を出すという皮肉などでは済まされない痛ましい事態に陥ることも多々あり、この療法については大きな見直しを余儀なくされることになった。言うまでもあるまい。その後、2型糖尿病については様々な系統の治療薬が出てきた。BG系、SU系、チアゾリジン系、グリニド系、α-GI、DPP4I、そしてインスリンといった治療薬が現在市販されている。今、最も汎用されている経口糖尿病治療薬と言ったら、恐らくDPP4Iであろう。その中でもジャヌビアやグラクティブでも御馴染みのシタグリプチンであろう。因みにこの薬は4年前、つまり、俺が大学4年生の時に出来たものである。一般的に1日1回50mg投与が原則なんだけれども、腎機能に問題のある患者さんに対しては減量の必要がある(腎排泄型だから、腎機能が落ちているとなかなか薬が体内から出て行かなくて、今度は期待していない副作用が出るリスクが上がるからだ。)。他にもエクア(ビルダグリプチン)、ネシーナ(アログリプチン)も同じく腎排泄型だから、もし腎機能が低下している患者さんに対して投与する場合は最小用量のものを慎重投与とするべきだろう。一方、トラゼンタ(リナグリプチン)は胆汁排泄型のため、腎機能の影響は受けにくい(勿論、肝機能が弱っている人には投与しないか、するにしても慎重投与となることだろう。)。
更に来春以降、またしても新機序の経口糖尿病治療薬(SGLT2I)が出来るようだ。一般名は「○○グリフロジン」だ。これは体内に貯留している余分な糖分を尿中に積極的に出すことを機序とする。ただ、本日の研修の演者の先生はこの薬に関しては「単純に血糖値を下げるだけが目的である。」、「今までの経口糖尿病治療薬にの副作用としては見ることがなかった感染症や発がん作用が少々心配事項だ」だと批判的な見解も同時に出していた。当然だろう。薬は諸刃の剣である。投与されれば、それに見合った効果は出るが、副作用と言うデメリットも勿論ある。いいことばかりじゃない、悪いことも起こりうる。
そして、最後に糖尿病(特に2型糖尿病)の患者さんに告ぐ。
糖尿病の治療は薬だけで出来ると言う甘い考えだけは絶対に捨てていただきたく思う。飽く迄糖尿病の治療の基本は「食事療法」と「運動療法」が基本であって、薬は最終手段であるということを肝に銘じてほしい。
覚えておいていただきたい。