入社前から聞いていた噂では

あそこの会社には鬼の教官がいるっていうのは聞いていた話。

まあ、実際厳しいけども、大勢のお客さまからお金を頂いて命を預かるという職種ということを考えれば当然だし、理不尽な事や間違ったことは言っていない訳で。

そこは耐えられるレベル。
ボスの人柄もとても素敵な人で本当、素晴らしい上司だと思う。

けれども。
本日入社された『ベテラン新入生』さん。

わたしがハンドル握っているときに
弥彦山スカイラインの麓走っているときに。

弥彦山スカイライン、もう登れますよ』とかなんとか、余計なことを仰る。

バス、全然通れますよ
とか何とか。

冗談じゃない!!!
ふざけんな!!!!!

ボス(←教官)は、元々新潟の方じゃないので、この弥彦山スカイラインのエグさをご存じ無い。

だから当然
行け!
と、なる。

あたしが『嫌です!』っていうと余計
ヤダじゃない!行け!!!!
ってなる。

案の定、そうなった。

弥彦山スカイライン、越後七浦シーサイドライン。

走り屋のメッカ。
亡き夫、英太朗が毎日のようにいた山。

若い頃夜な夜なギャラリーしに来たもんだ。

このコースがエグい事、知ってる。
死人が何人も出てる事も、知ってる。

絶対何かあるって、思った。
坂を上っている間、背筋が凍っていた。
もはや他人に気を使っている余裕なんて無い。

天気のいい日曜日。
ガチなチャリがめちゃくちゃいっぱいいた。

大型車は一台もいなかった。

亡き夫に祈った。
『何も起こりませんように』

途中、ヘアピンカーブに車が停車している横を通過しようとした時に対向車が結構なスピードで下ってきた。

その瞬間、ハンドルを目一杯切った……つもりなのに、ハンドル動かなくなりました。
バス御法度の急ブレーキを踏んでしまいました。

案の定、怒られました(´-ω-`;)

その時は、ハンドル切りすぎてタイヤがフェンダーの中で当たってそうなったんだと思っていました。

…長い長いコースを登りきり、山頂に着いた時に広がる景色は素晴らしく、写真を撮った。

ここまであのでっかいバスで来たんだ、どんなもんだと言わんばかりにFacebookに写真をアップする…と。



誰も乗っていないはずのバス車内に…顔認識機能が働いている…

絶対、英太朗だって思った。
霊感とか全然無いけども。
アイツの気配は何か分かる気がする。



帰りは、さすがにこのコースは未熟者のわたしに運転させるのは酷だと思ったのか、乗っている方が怖かったのか、車両の異常に早々に気づいてらしたのか、(←途中から変な音がすると仰っていたので多分これ)ボスが運転して下さいました。

『げっ!これパワステ壊れてるぞ!』

車内6人。

青ざめながら弥彦山の山頂から降りてきました…。

わたしの運転だったら恐らく…

翌朝の朝刊に載っていたことでしょう…。


無事で良かった…。