ACE阻害ペプチド
食品タンパク質由来の生理活性ペプチドとして最もよく研究されてきたのが、ACE阻害ペプチドである。
ACEは、ほ乳動物の生体内に広く存在する酵素で、血管内皮細胞に多く分布している。この酵素は血圧調節に密接に関わっており、図2に示すように、レニン-アンジオテンシン系とカリクレイン-キニン系に作用することにより、血圧上昇をもたらす。
すなわち、ACEの過剰な作用が高血圧症をもたらす一因となっており、ACEの活性を抑制することにより血圧を正常なレベルに維持することができる。
ACE阻害ペプチドの摂取(投与)が高血圧症の予防や治療に有効であることは、主に高血圧自然発症ラットを用いて検討されてきた。牛乳タンパク質由来のACE阻害ペプチドとしてよく知られているものにラクトトリペプチド(Ile-Pro-Pro, Val-Pro-Pro)があります。
抗酸化ペプチド
近年、生体内における活性酸素の生成が多くの疾病にかかわっており、その消去が疾病の予防や治療に重要であることが指摘されている。
このため、活性酸素消去能を有する抗酸化物質を多く含む食品に対する関心が高まっている。
このような食品の代表的なものとしてポリフェノールを含む赤ワイン、カテキンを含む緑茶、β-カロチンを含む緑黄色野菜などがよく知られている。
ペプチド性の抗酸化物質もあり、食肉に多く含まれるカルノシン(ジペプチド)のようなものがある。食品タンパク質の分解により生成する抗酸化ペプチドに関する報告もいくつか見られる。
牛乳タンパク質(カゼイン)分解物から見出された抗酸化ペプチドとしてTyr-Phe-Tyr-Pro-Glu-Leuがあり、フリーラジカル捕捉能や脂質酸化抑制能があることが示されている。
食肉タンパク質分解物からも強力な抗酸化ペプチドを発見している。