キナーゼ(Kinase、読み:カイネイス、カイネース)とは、生化学 において、ATP などの高エネルギーリン酸結合 を有する分子 からリン酸 基を基質あるいはターゲット分子に転移する(リン酸化する)酵素 の総称であり、リン酸化酵素とも呼ばれる。EC 2.7 群(リン酸転移酵素、ホスホトランスフェラーゼ)に属する。英語発音に由来するカイネイスカイネースと呼ぶ研究者が増えてきている。

一般に高エネルギーリン酸化合物からのリン酸転移反応 は大きな負の自由エネルギー 変化を伴うため不可逆変化として進行しやすく、その結果生じる化合物もまた高エネルギーリン酸化合物である場合もある。ゆえにキナーゼは基質分子に対して「活性化」あるいは「エネルギーを与える」(キナーゼの名称もこの意味による)と考えることができる。すべてのキナーゼはMg2+ あるいはMn2+ など2価の金属 イオン を要し、それによりドナー分子の末端リン酸基の転移を容易にする。

キナーゼには様々なタイプがあるが、大きくは低分子化合物を基質とし代謝 経路で機能するタイプと、タンパク質 を基質としてその機能を調節したり細胞シグナル伝達 経路で機能するタイプの2つに分けられる。例として次のようなものがある: