【今日の写真】撮影場所:フィリッピン共和国 セブ島沖の小島 撮影時期:2007年看護婦の木とも呼ばれる、マルンガイの木フィリッピンに「看護婦の木」「薬の木」と呼ばれる木がある。インドの古書「アーユルベーダ」にもでてくる薬木です。上の写真は、フィリッピン・セブの離れ小島で見付けた時のもの。タガログ語ではマルンガイと呼ばれている。学名はモリンガ・オレフェラ(Moringa Olefer)と言い、世界保健機関(WHO)は、この木が驚くべき多くの栄養素を持つことから、人類を飢餓から救う「奇跡の木」として栽培を奨励している。―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――無駄か否か海があって山がある。そうして森がある。森の中で、立木が枯れて朽ちて、コケが生えやがて風にさらされ倒れてしまう。自然に腐って、倒れた木である。倒れた木は、風雨にさらされ、さらに分解される。有機窒素や、その他の栄養分を吸収しコケやキノコが育つ。それらを餌にする、アリや小虫が寄ってくる。それを狙って、別の大きな虫たちが集まってくる。虫を餌にする、鳥や爬虫類がやって来ては空腹を満たす。森のいたるところへ糞を落とし、また森の養分になる。無駄のようにみえる朽木でも、無駄なもののようで実は自然の生態系を維持する、大切な作用を担っている。したがって、これは風倒木とは言わないんだ。「看護婦の木」(ナースロッグ)と呼ぶんだそうだ。わが敬愛する文豪、開高健はアラスカのサケ釣りをテーマにしたDVD『川は眠らない』の中で語っている。なにが無駄であり、無駄ではないかは、俄にはわからない。無駄だったと思っていたことでも、あとでとても有用なことだと気付くことがある。『無駄』を恐れていちゃあ、イカンということだねえ。無駄なことばかり繰り返した、たぬち庵の人生。無駄であったのか否か、まだ答えは出ていない。
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