ある日突然、週に1日、近所の女の子を
預かることになった。
人への感謝やおもいやりが
持たせられなくて困っているとの相談
からだった。
なるほど、何に対しても興味はない!という
顔をしている。歳は10歳と聞いている。
始めての夕食の時、
何が好きかは分からなかったが、
僕は子供が好きそうなものを一所懸命作った。
「それでは、いただきま~す」
僕は彼女をずっと見ていた。
「どうだ?美味いか?」
「べつに・・普通。」
「そうか、普通か。」
初めての夕食の時間は
僕にとっても、彼女にとってもつまらない
時間だった。
それから2ヶ月が経った夕食の時間、
僕は同じように問いかけた。
「どうだ?美味いか?」
「べつに・・普通。」
「そうか、普通か。」
ここで僕は提案を出した。
「ちょっと立場を逆転してみようよ」
「君は台所に行って、おじさんが食べるところを
見ていて欲しいんだ。」
「君が作ったご飯をおじさんが食べる設定だよ」
僕は、つまらなそうに、まずそうに食べた。
「どう?何か感じた?」
「すごいムカつく!」
「何でムカつくの?」
「まずそうに食べるから!」
「じゃあどうやって食べたら、
また作ってあげたいなぁって思う?」
「うーん、おいしいね!スゴイね!って言いながら
ニコニコ食べて欲しい。」
「そしたら、またがんばっておいしいの作りたくなる」
「じゃあこっち戻ってきて~」
「母さんにおいしいご飯を作ってもらうために
君はどうしたらいいんだっけ?」
「・・・おいしいってニコニコしながら食べる」
「おーそれいいねぇ」
「じゃあ、君に親切にしてくれる人が
いっぱいになるには、君はどうしたらいい?」
「うーん、ありがとう、ありがとうってニコニコする」
「そっか、ありがとうって言われたら嬉しくて
また親切にしてあげたいって思うもんね。」
「じゃあ、今日からそうしていこうよ!」
「うん、私は今までそれが出来ていなかったんだね
おじさん、ごめんね」
「違うだろう?お兄さん、ありがとう だろ」
2ヶ月目にして、初めて笑った夕食の時間だった。
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あっ妄想作家の弱虫コーチです!
おじさんを最後にお兄さんに修正させるところが
僕らしい作品です! | 壁 |д・)
相手の立場に立って、物事を考えろ!
言葉では簡単ですが、なかなか現実は難しい。
ならば、リアルで役を交代してみよう!
自分を客観視する、一番の方法だ。
母さんが新聞を読みながらゴロゴロする。
父さんが掃除機片手に邪魔よ~って言う。
それだけで、子供は爆笑だ!
by 弱虫コーチ