店主とその従業員
店主が従業員に給料袋を渡しながら「この給料の2割を貯金しなさい」というと
従業員は「そんな事は無理だ」と顔をしかめる。
今度は店主が「では給料の8割で生活してみなさい」というと
従業員は納得したように「やってみる」と応えた。

以前、上記のような大和証券のCMがあった。

おわかりの通り、店主が言っていることはどちらも同じだ。だが、言い方によって、従業員の行動がまったく異なってしまう。

このような不合理な人間の行動を研究する「行動経済学」という分野があるらしい。


そもそも経済学では、人間は合理的である(ホモ・エコノミクス)という前提を置いている。

Wikipediaによると、

経済人(けいざいじん)またはホモ・エコノミクス (homo economicus) とは、経済活動において自己利益のみに従って行動する完全に合理的な存在。実際の人間の行動を近似したモデル。(一部抜粋)

ということらしい。

ただ、我々の日常生活は非合理な行動をとることが多い。(非合理な意思決定をしてしまうからこそ、ロジカルシンキングやファクトベースといった考え方が有効でありえる、とも言える)
むしろ、自分の経験に照らし合わせると、合理的な行動をとることの方が少ない。ビジネスの時くらいだろうか。(合理的な判断をしていると信じたいが、実際は違う気もする。)

冒頭のCMの話しは、合理的でないと誰しもが理解できるが、従業員の行動が言い方によって変化することも非常に納得できる。

今回、そのような行動経済学の分野での面白い本があったので、紹介したい。

予想どおりに不合理―行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」/ダン アリエリー
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である。行動経済学の入門書であるが、ここでのポイントは、なんといっても「予想通りに」不合理であることである。不合理な行動をとることは、規則性があり、予想できる、という。

本書内でも説明されているが、これは、錯視に似ていると考えると分かりやすい。
同じ大きさや長さであるはずなのに、どう見ても片方が大きかったり、長かったりする。

同じように、人は比較しやすいものを好む、アンカーを置かれると価格が変化する、先延ばしにする、失うことに対し過剰反応する、現金を介した取引では正直になる、といった傾向がみられる。

これはマーケティングの分野ですでに応用されているらしい。
たとえば、レストランで非常に高いメニューを用意しておくと、他の少々高いメニューのオーダーが多くなる、といったようなものだ。

また、このような思考のクセを知っておくことは、自分の行動を律するのに役に立つかもしれない。


行動経済学の本は、これ以外にも読んだことがあったが、その時はあまり印象に残らなかった。だが、この本は読みやすく、非常に面白い。
その理由としては、

①実験自体がユニークなものである
②実験結果のみならず実験プロセスを紹介している

ところにあると思う。また、

③MITやハーバードのMBAの学生といった、頭がよく、論理的と思われている人々も同じように不合理な判断をしてしまう、ということがわかる。

といったことも面白さの一つかもしれない。

このように、ジェラシーというのも不合理な行動を引き起こす要因かもしれない。