2011年に橿原市山本町でたまたま 「衝破除」(しょうはよけ・しょうはじょ) と刻まれた石柱を見つけ、「これはいったいなんだろう?」 と思いながらもあまり気にも留めていませんでした。しかしその後、衝破除は、丁字路の突き当りなどに厄除け・魔除けとして立てられている石碑だと知り、奈良県内でも道標と同様に無くなりつつある存在だということがわかりました。

子供の頃、道の突き当りには直進してきた様々な負のエネルギーがたまって良くない、という話を聴きました。昔の迷信なのでしょうが人々は災いを恐れて衝破除などを立てて家を守ったのでしょう。石敢當鍾馗など、同じ意味合いを持つものは全国的にあるようで、丁字路の突き当りには祠が置かれていることもよくあります。また県内では、五道大神も衝破除と同様に家のまわりや道の突き当りに魔除けして置かれることもあり、当記事では衝破除と並べて掲載しています。

衝破除は奈良県内ではあまり見かけることはありません。盆地部はとくに細かく歩いていますが、今までで出会ったのは奈良盆地南部で8基(+後述の五道大神5基)のみです。大阪の南河内地方にはまだ多く残っているようですので地域性があるものなのかもしれません。しかし奈良盆地南部と南河内地方というのは竹内街道や長尾街道つながりで文化の流入があったのでしょうか? 

衝破除については、このサイトで詳しく書かれています。『富田林百景+「とんだばやし」とその周辺の魅力を発信!』 なんだろ?衝破除(しょうはよけ) 

それでは奈良県内に残る衝破除を見て行きましょう。




・衝破除 (橿原市山本町の山本大師北丁字路) 現在は消失しています。 
初めて見つけた衝破除です。2016~2018年頃に民家と倉庫の解体とともに無くなったようです。 



・衝破除 (大和高田市野口) 
近年に建て替えられたものでしょうか。現在も魔除けとして使われているようです。 



・衝破除 (御所市神宮町) 
御所町にあるものです。昭和54年の銘があります。 



・衝破除 (御所市池之内-A) 
衝破除を撤去せずに塀を作ったために半分塀に埋もれています。



・衝破除 (御所市池之内-B) 



・衝破除 (葛城市中戸-A) 
アスファルトにほとんど埋没しています。葛城市中戸では1軒の民家の3方に立てられています。



・衝破除 (葛城市中戸-B) 
うっすらと 「衝破除」 の文字が読み取れます。こちらも少し埋没しています。 



・衝破除 (葛城市中戸-C) 





・五道大神 (大和高田市藤森) 
この家のご主人曰く、ここに神を祀って衝破除としているそうです。 



・五道大神 (大和高田市藤森) 
同上。 



・五道大神 (橿原市曽我町) 



・五道大神 (桜井市初瀬-A)  ★New★ 



・五道大神 (桜井市初瀬-B)  ★New★ 



(写真なし)
・五道大神 (広陵町百済(淵口)) 現在は消失しています。 
こちらも丁字路の突き当りにあり、魔除けとされていたようです。 




おまけ。(大和郡山市池之内町) 



最後に、私が見つけたものだけですがおおまかな地図を載せておきます。各地の古い集落内を探してみてください。まだまだ残っているかもしれません。 





(記事編集


<2018/9/12  五道大神(橿原市曽我町)追加・地図更新> 
<2018/11/13  おまけ追加> 
<2020/1/5  衝破除1基(御所市神宮町)追加> 
<2021/7/1  衝破除2基(御所市池之内)追加・地図更新> 
<2021/7/13  衝破除3基(葛城市中戸)追加・再編集> 
<2022/4/20  五道大神2基(桜井市初瀬)追加・再編集>