2020/07/17日本経済新聞『テスラ株急騰と大バカ理論』より
今の世界の株式市場において最も投資家の注目を集める銘柄は電気自動車のテスラではないでしょうか。
その時価総額は7/1にトヨタ自動車を抜き世界の自動車メーカーでトップに立ち、7/13には一時35.7兆円と日本の自動車7社の合計も超えていました。
株価チャートは99年のITバブル、17年のビットコインのような急騰ですが、エンジン車から電気自動車へと需要が変化していく中では、その株価急騰に根拠がないとも言い切れず、GAFA並みの株価評価が許容されている。
とは言いつつも、直近の指数関数のような株価上場は成長期待ストーリーでも説明ができないレベルではないかと投げかけています。
テスラ株価10年
投資家はテスラの株価は高すぎるとは思っていても、他の「誰か」がより高い価格で買ってくれると信じ、より高くなっても買い上げているようです。
この「誰か」とは・・・言うまでもなく、
ETFなど株価指数に連動して運用を行うパッシブマネーであると。
テスラの20年4-6月期決算発表は7/22、ここで「4四半期連続最終黒字」を確保すると、S&P500種株価指数への採用条件をクリアする見込みと言われています。
この指数連動資金は4.4兆ドルはあると言われ、S&P500に組み入れられると2500万株(380億ドル)の買いが発生されると言われています。
どんな株価だろうと「引き取る」巨大な投資家が控えているのであれば、投資家はテスラの株価が青天井でも買い進みます。自分が高値掴みしてしまうバカでも、もっと高い値段でも買ってくれる大バカがいるうちは大丈夫だと考えているわけです。
この需給頼みの強気心理をウォール街では、「グレーター・フール・セオリー(大バカ理論)」と言われます。
この記事の最後では、パッシブ運用が開発された1970年代以降、低コストで効率的な運用スタイルとして「賢い投資」と言われてきました。それが今や、規模が肥大化しすぎて株価形成のゆがみを拡大する「大バカ運用スタイル」になってしまうというのは、何という皮肉だろうと終わっています。
株価は割高だとわかっていながらも、指数に入っているから買わなければならないインデックス運用の宿命・・・
この点が株式市場での公正な株価・企業価値発見機能をマヒさせてしまう弊害でもあり、インデックス運用の弱点でもあります。