2020/03/06日本経済新聞『嵐の中静かな選別』より

 

日本株の米国株に対するリカバリが遅れる(まだ回復軌道に乗った訳ではありません)のは、今に始まったことではありませんが、一部の富裕層個人投資家や海外投資家は水面下で、日本株の「買い出動」を始めているとの記事。

 

新型ウィルスの影響度を見極めるのは難しいながらも、コロナショック終息後の株価上昇の期待が持てる銘柄探しとして、その選別眼としての投資指標に焦点を当てています。

 

この指標とは「高配当」「高ROIC(投下資本利益率)」

前者は言及するに及ばず:配当/株価で配当利回りの高さを測る指標後者は企業が投下する資本からどの程度効率的に利益を生み出しているかを測る指標です。

 

今週に入り個人富裕層を中心にインターネット証券経由で活発に買われるのは、トヨタ、任天堂等の割安感が出てきた高配当株、株価が下がり、配当利回りを高く感じる水準になると、個人投資家が買いやすい雰囲気になっているようです。

 

一方、外国人投資家からの関心が高まっているのがROIC(投下資本利益率)で、企業が投下した資本をいかに効率的に利益獲得に寄与しているかを見るものです。この具体的銘柄としては、朝日インテックやエムスリー等の資本効率の高さで知られる優良銘柄が日経平均を上回る上昇を見せているようです。

 

このROICへの注目は、最近の世界的な長期金利の急速な低下です。金利の低下は対象企業の資本コストが下がり、ROICの高い企業ほど企業価値の評価が高まりやすいとあります。

 

新型コロナ感染拡大の中で経営環境の不透明感が強くなることから、借入を積極的に活用することでROE(自己資本利益率)を高めるレバレッジ経営の銘柄ではなく、財務の健全性を加味できるROICが高い銘柄が、外国人投資家には選好されているようです。

 

新型コロナの影響は世界的な企業業績の鈍化は避けられなくなる中で、

米国株の戻りの強さ=コロナ後の回復を見据えた買いは「日本企業ではなく、やはりグローバルな優良株だな」

 

と海外投資家が考えているとするならば、この日本株の置いていけぼりは暫く続く・・・のではと終わっていました。