2019/11/8日本経済新聞 『上場企業、2期連続減益へ』より

 

日本の上場企業2020年3月期の純利益は前期比4%減、2期連続の最終減益となる見通しで、企業業績の悪化が継続しています。

中でも利益見通しが厳しいのは製造業で、世界的な自動車販売の低迷、米中貿易摩擦による設備投資の減少、さらに中国等の海外勢との競争激化に苦しむ企業も増加している結果のようです。

 

2019/11/08日経新聞より

 

日経実施の11/7までに決算発表済972社対象の集計では、製造業の純利益12%減と悪化、非製造業の1%増とは対照的。業種別で最も減益幅が大きいのは電機・機械。貿易摩擦の長期化で企業が設備投資を控えている影響を大きく受けているようです。

ファナック62%減益(工場の自動化投資の低迷が原因)、日東電工22%減益(中国でスマホ製造工程向け材料の需要減が原因)、自動車産業では完成車から部品・素材メーカーまで業績悪化が広がっており、三菱自は今期純利益見通し96%減、ミネベアミツミは同14%減へ引き下げしています。

 

こうした需要が減少する中で、中国等の海外企業勢との競争は激化していることも、業績悪化につながっています。この例では日立金属はモーターに使う磁石で中国企業との価格競争が激化、建機大手コマツは中国市場で2割以上も安価な現地メーカーの販売攻勢を受け苦戦しているとあります。

 

一方、非製造業の内需系は業績堅調。国内で盛んなシステム投資の追い風を受ける野村総研、決済系システム等のTISも増益、小売り・不動産等の内需企業も業績は比較的良いようです。

 

ただし国内景気の先行きには手放しで喜べない消費増税の影響が気になる小売り、製造業全体の落ち込みが一般生活者に波及してくる事態が想定されると、今好調な業績も雲行き怪しくなるというケースもあります。

 

この「上場企業、2期連続減益」という大きな見出しは、悲観的な先行きを連想せざるを得ませんが、先般お話しをした市場調査ベテランの方曰く、

 

「確かに日本の産業用機械や重機は値段が高くて価格競争では厳しい局面だけど、日本製ってとても性能が良くて、なかなか壊れず、メンテナンスもしっかりしているから、永く使えて人気なんですよ。是非正確な事実の認識と情報収集をして投資判断して欲しいです」

 

と仰っていました。非常に納得感があり、良いミーティングでした。

 

ということを踏まえながら、先を厳しく見ている企業の業績見通しと、最近の株式市場で続く上昇基調を合わせて、冷静に考え判断しなければならないことが、いくつかありそうです。