古本で購入した、アイザック・アシモフのSF短編集『停滞空間』(Nine Tomorrows)の解説中に間違いがあるという話を昨日しましたが、さすがに言いっぱなしではまずかろうと思われるので、その内容について記しておきます。
私が購入したのは、ハヤカワ文庫 SF〈357〉の『停滞空間』で、昭和57年2月15日3刷です。その巻末に置かれた解説の第1ページ(以下の画像)の中にアチャー (>_<) な間違いが! 「(ものはついでだ、以後の長篇を記せば……」で始まる括弧内の注記部分にご注目ください。
既にお気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、未訳作品のうちの1冊について事実関係の裏取りを怠ったためか、文中以下の部分がおかしなことになっています。
その1:「以後の長篇を記せば」
以後のタイトルには長篇(小説)ではない作品が含まれています。
大きめの活字で行間もゆったりとり、150ページほどの分量です。
その2:「
普通小説の」
内容は、ハウツー本を模した、軽妙なユーモア・エッセイです。
よって、この説明はアウトです。
その3:“The Sensuous Dirty Man”
正しくは、“The Sensuous Dirty Old Man” です。(^^;
BY DR. “A” と匿名を装いながら、実名バレバレで笑わせます。
というわけで、この解説執筆者の「ものはついでだ」と切り出したせっかくの意気込みも、どこか滑稽な上すべりに終わってしまったようです。アシモフの著作は、図書館のデューイ十進分類法のほぼすべてのカテゴリーをカバーしているといわれるほど多岐の分野にわたっていますから、タイトルだけを見て「普通小説」と決めつけたのは早計だったといえるでしょう。Dirty Old Man がキーフレーズなわけですが、もしかして、アシモフがポルノ小説にも手を染めたとでも考えたのでしょうか? (^^;
ただ、この種の誤りは、出版社側の担当編集者の段階で正されてしかるべきではないかとも思われます。解説者の原稿がギリギリで届いて昭和54年8月31日の初版発行には間に合わなかったとしても、昭和57年の3刷までにはなんとかできなかったのか……アシモフのファンの一人としては実に残念なことでありました。
その後の増刷時にはこのあたりが正されていることを切に願うばかりです。 (^^;