Disco sucks! | DVD放浪記

Disco sucks!

 

 

 

 

 

アンディ・ウィアー『火星の人』の楽しみのひとつは、不慮の事故でたったひとり火星に置き去りにされた主人公マーク・ワトニーのへらず口とジョークだが、個人的に一番楽しかったのが、彼のディスコ音楽への拒否反応! (^0^)

例えば、[ログエントリー:ソル38]のラストはこんな具合だ。
 

 このローバーを最後に使ったのはルイス船長だ。ソル7にも使う予定だったのに、家に帰ってしまった。なので彼女の個人用トラベル・キットがまだ後部座席にある。漁ってみたらプロテイン・バーと個人用のUSBが出てきた。たぶん運転中にきく音楽がめいっぱい入っているのだろう。バーを食べながら、有能な船長がどんな音楽をもって

きたのか見せていただくことにしよう。


[ログエントリー:ソル38(2)]
 ディスコですか。勘弁してくださいよ、船長。

 
ちなみに、ソルは火星の1日(24時間39分35秒)のことで、第1章のログエントリーはソル6から始まっている。

ワトニーからルイス船長宛てのメッセージ
 

 たぶんあなたは、クルーを失うのは最悪の事態だと思っているでしょう。ちがいますよ。最悪なのはクルー全員を失うことです。あなたはそれを回避したんです。
 しかし、われわれはもっと重要なことを話し合わなくてはなりません――あなたがディスコって、どういうことですか? 70年代のテレビ番組は理解できます。だれだって、でかい襟の毛深い人種が好きですからね。しかし、ディスコ?
 なにゆえディスコ!?

 
ASCIIコードで綴られた地球からのメッセージへの返信の一部。
 

 もうすぐ地球の入り。こちらの時間で明朝08:00に再開。ぼくは元気だと家族に伝えてくれ。クルーにもよろしく。ディスコは最低だとルイス船長に伝えてくれ。

 
[ログエントリー:ソル116]では、地球に送った質問への回答メールが紹介されていて……
 

 データ転送速度がまだ不足しているので、音楽ファイルは圧縮しても送れない。したがって、「なにか、ああ神さま、なにかディスコ以外のものを」というきみのリクエストは却下する。ディスコ・フィーバーを楽しんでくれたまえ。

 
こういう次第だから、次のようなくだりは爆笑ものだ。
 

[ログエントリー:ソル195]
 あまりにも退屈なので、テーマソングをきめることにした! 
 なにか適当なやつ。当然、ルイスのひっでえ70年代コレクションから選ぶべきだろう。それ以外は許されない。
 有力候補はいっぱいある――デヴィッド・ボウイの『ライフ・オン・マーズ?』、エルトン・ジョンの『ロケットマン』、ギルバート・オサリバンの『アローン・アゲイン』。
 だが、ビージーズの『ステイン・アライブ』にきめた。

 

 


英米の小説の翻訳書を読んでいて、ごくたまに、原文の表現に思い当たるときがあるが、今回は「ディスコは最低だとルイス船長に伝えてくれ」に出てくる「ディスコは最低」。これって、たぶん、“Disco sucks!” なんだろうなと思っていたら、IMDb の Quotes 欄にありましたよ! (^^;

 
Mark Watney:
Tell Commander Lewis, disco sucks.