ペーパーバック古書 | DVD放浪記

ペーパーバック古書

私は大学生時代に新刊書店の洋書コーナーでSFなどのペーパーバックを眺めてまわっていたことがある。神保町にまで足繁く通うほどのマニアではなかったのだけれど、たまに泰文社などに積み上げられた本の山を掘り返すことはあった。もっとも、既に年季の入ったマニア勢によって採掘し尽くされたあとでは、たいした成果も望めなかったわけだが。

 

 

それが、最近になって、意外な本が見つかるようになってきた。たとえば、昨日のことだが、Nightmares and Geezenstacks(2000円)とか Gladiator(900円)が棚差しされているのを見てびっくりした。前者はフレドリック・ブラウンの短編集で、創元推理文庫から『未来世界から来た男』として訳されたもので、この令和の時代ではレアものといっていいと思う。

 

 

後者の Gladiator は、映画「地球最後の日」の原作者として知られるフィリップ・ワイリーの『闘士』(コミック「スーパーマン」の元ネタとされている)の原書である。

 

 

どちらも透明ビニールでぴったり包まれていたため、中身を検分することはできなかったけれど、刊行時期を考えればコンディションは悪くないと思われた。希少さもあっての値付けだろうが、この令和の時代にこうした本にお目にかかれるとはありがたいことではある。ブラウンについては、『やさしい死神』の原書 The Lenient Beast もミステリ本のカテゴリに置かれていた(900円)。

 

 

もっとも、だれのコレクションから今この本が市中に流れてきたのか、その理由を想像するとき、手放しに喜んでいいものか、やや複雑な思いもする。

 

ちなみに、私はどちらの本もスルーした。Nightmares and Geezenstacks は既に持っているし、Gladiator も安価に入手可能だからだ。どちらも電子書籍化されているのだ。表紙画も悪くないし、ヴィンテージもののペーパーバックとしての魅力は否定できないけれど、なにせ下級市民の身の上である。 (^^;