時代が時代なら、ガンダムもガンダムだ。「機動戦士ガンダム」から始まるガンダムは大きく分けて2種類存在する。「U.C」か「それ以外」だ。
機動戦士ガンダム、いわゆるファーストから「ユニバーサル・センチュリー」という西暦後の話が続いていた。しかし、それも「機動戦士Vガンダム」で一旦、終わりとなってしまう。
それ以来のガンダムは何だかよく分からない路線を突っ走りまくっている。
月が見えたりとか、「出ろ!ガンダム」と吠えると出てきたりとか、極めつけはひげが生えたりとか……兎にも角にも、U.Cガンダムの新作が出ることはあまりなかった。
というのも、なかなか説明するのが面倒なのだが、U.Cには大きな流れというものがあるからだ。
ガンダムには空白の期間がある。そこを埋める形でどんどん作品を出したのだが……正直言って、前後の流れを知らないといまいちという感も否めないのが現状だった。
だから、新しいガンダムを出す必要があったのだ。
新しければ、しがらみとは無縁になる。しかし、それはそれで旧作ファンを楽しませることにはならないのだった。
そこで2007年から登場、「機動戦士ガンダムUC」である。
小説ながらも、しっかりとした戦闘描写やニュータイプの覚醒などが描かれている。
流石は、福井春敏といったところか。
終戦のローレライのESPを軍事利用してミサイルから潜水艦を守るという発想はとてもガンダムチックだ。彼は即刻、ニュータイプ研究所につっこむべきだ。そこで朝から晩まで強化人間の開発にいそしんで頂きたい。
ガンダムは専門用語の多さで人を参らせる先品だが、今回は特にそれが強い。
しかし、それが実に面白味へと昇華されている。思わず、ウーンとうなってしまうほどだ。
AEを裏から操り、政治経済に強い影響力を及ぼす「ビスト財団」。
ジオンが単なる悪役として描かれておらず、むしろ連邦よりも人間味ある存在として描かれている。
主人公、バナージ・リンクスもジオン、連邦とはっきり分かれて所属していない。
ただ、戦争を止めるために動きまわるのだった。自分と愛機、ユニコーンの力の関係に悩むバナージ。「パイロットは戦闘単位だ」という事実を受け入れずに、人を殺す事をためらう姿は人間味にあふれている。思春期独特の苦悩が上手に描かれている。
「誰も殺したくないんだ」と良いながら鉄器を撃墜しまくっていたどこかの誰かより全然ましだと言える。
やはりライバルの存在は必要不可欠だ。今回のライバルも、仮面をかぶったエースパイロットだ。勿論、ノーマルスーツなんて装着していない。
どこかで聞いた事のある奴だぞ。金髪、仮面とくればやはりシャア・アズナブルしか思いつかないだろう。そう、彼は「シャアの再来」と称されるカリスマで、ネオジオンの首魁フル・フロンタルだ。
ガンダムの世界では仮面は必要不可欠だ。仮面のないライバルなど思い返しても面白みがない奴らばかりだ。シロッコは戦争を遊びにした挙句にスイカバーの串刺しになり、ハマーンといえば後期の印象は頭部に装飾過多というだけである。あんなに角を作ってどうする気なのだろう?春には桜が満開にでもなるのか?おまけにあれだけ角が多いと、うかつに振り向けない。振り向いたら他人の顔に刺さる、などということもありかねない。ならば近づかなければいいという判断になり、ハマーンの周りにはかくして人がいなくなる。アクシズも崩壊だ。ハマーンに残された道は、どこかの誰かの愛人になることだろう。それではまるで皇国の守護者の姫君だ。
そもそも、あれはどうやって作ったのだろうか。
僕がネオジオンから受注する職人だったらきっと吹き出してしまうだろう。
その点、仮面は便利だ。着脱も簡単だし、邪魔になるということもない。ただ、鉄で出来ているのが汗で錆びてしまわないようにお手入れは入念にすべきだ。
折角、「見せて貰おう。新しいガンダムの性能とやらを」とか「当たらなければどうということはない」などの往年の名台詞を持ってきているのだからちゃんと長く仮面を着用してもらいたいものだ。
モビルスーツはとてもかっこいいぞ。純白の一本角を携えたユニコーン。ある条件を満たすことで「デストロイモード」になるのだが……
一本角が割れて、ガンダム特友のデュアルブレードアンテナへと変化する。そう、今回は「角割れ」が起きるのだ。いつかの「種割れ」に比べて断然にかっこいいぞ。
その他、フル・フロンタルの搭乗機である「シナンジュ」などもごっつくてかっこいい。
小説は読まないけど、プラモは買ったよという人を何人も知っている。
今年の冬にはOVAにもなるガンダムユニコーン。
是非とも、チェックしてもらいたいものである。