『懲役列伝』 1話 石Oの爺ちゃん | 釧路刑務所 第3工場の懲役ブログ

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刑務所内で毎日書いていた日記を公開していきます。
懲役・懲罰・受刑者・拘置所・料理・お笑い記事がメインとなってます。

なんか、懲役に行くまでに色んな凄い人と知り合いました。


面白い珍犯罪な人にも出会いました。本当にさまざまな出会いが


ありました。これも書きたいなと思ってた事のひとつなんです


ただ日記に付けていた訳じゃないので詳細は覚えて無い所もありますが


こっちのテーマは少しずつですが書いて行こうと思っとります。


最初の話は、留置所で一緒になった石Oのじぃちゃんの話をしてみます。


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俺が留置所に入って1ヶ月もして留置所のみんなとも仲良くなった頃


留置所の部屋は狭く3人部屋で、直ぐに俺が房長になった頃


またひとり新人が入ってきました。年の頃は70歳、凄く目つきの悪い白髪の老人、


丁度、うちの部屋だけが空いていたので、一緒の部屋になりました。


部屋に入る時、挨拶をするとか礼儀正しいので、常連やなって直ぐにわかった


『じぃちゃん何回目?何したんや?』



じぃちゃんは人差し指をクイクイと曲げる仕草をして、盗みの合図をしながら
『これですわ!』


『浸入盗?』
※浸入盗(しんにゅうとう)家などにこっそり入って盗む人


『いや置き引きですねん』


『置き引きなんか儲かるん?』


『良い時は100万円越えますねんこれが!』
じぃちゃんが胸を張りイキナリ元気になった。


『マジかいや!凄いな!で、刑務所は何回目?』


『へへっ 13回目ですわ(笑』



『大先輩やなぁ よろしくたのんまっさ(笑』



その日はそれだけの会話で終わったが、後にじぃちゃんの笑顔が



可愛くて物腰が柔らかくて、すぐに仲良くなったある日、



じぃちゃんが犯罪に手を染めたきっかけをを語りだした。


彼は21歳で畳屋さんを経営する娘と知り合い結婚し畳屋さんの


2代目として何事も無く平穏に過ごしていたが、ある日TV番組


置き引き逮捕の瞬間
と言うのが放送されており、何気なく見ていたらしいのだが


数日後も、その番組の事ばかりが気になり、置き引きの事が


頭から離れなかった。そんなある日、駅の改札口で無用心な男のバッグに


目が留まり、金に困っていた訳じゃないが、バッグに手をだしてしまった。


バッグを取って脇に抱えても男は全く気付かない。


じぃちゃんはバッグをそのまま持ち帰ってしまった。その時のドキドキとスリルが


忘れられなくなり以降も置き引きにハマってしまい8回目の置き引きで逮捕されたが


執行猶予で出された。それから半年間はマジメに畳屋の主として過ごすが



置き引きがやっぱり頭から離れない。あのスリルをもう一度味わいたい・・・・・


じぃちゃんは、また置き引きに手を出し直ぐに逮捕。。24歳の時だった。


2度目という事もあり、実刑3年の判決を喰らい、嫁も失った。


全てを失くしても、置き引きにハマり続け今もじぃちゃんは


目を輝かせ、どこかで置き引きに励んでいるんだろう。


目つきの悪い70歳ぐらいの白髪のじぃちゃんを見かけたら、



それはもしかしたら・・・・・


石Oのじぃちゃんかも知れませんよ?



ほなな