振り向けば優し眼差し春日傘


散るを知り咲くコクリコの君と吾


風ひかる港に泊まるふたりかな


高架橋の下に集めし風光る


珈琲の香り楽しき春ふたり


結ぶ季の差図は有らず薔薇と縁


棘さへも柔らかくして薔薇の雨


棘まとふ薔薇なればこそ寄りてみゆ


傷つかばたぎる血潮ぞ赤き薔薇


欹てし耳に血脈の稀薔薇


抱きしめて傷つくもよし稀薔薇




凍空を過ぎゆく風に従いて

手を取り越えむ高きあの山

(風早)



















携ゆる手のあらばこそ峯の雪

陽に耀やふて心高鳴る

(佳小雨)


時雨るる野辺に宿るとも 西天仄かに光して


日暮時 そらを見ているひとときも

あなたのことを想っています・・・

(風早)

















時雨るる街の片隅に届くや 

遙か 西・声・光(さい・せい・こう)

                  

夜半過ぎ 寝返りうてば君の声

聞こえるようで

耳欹てて・・・

(佳小雨)

言の葉の優しくありて哀しきは

届かぬ故の理不尽の愛

(佳小雨)


哀しさを抱きしめてまたここにあり

君の笑顔を思い浮かべて

(風早)


愛しきと思えば雨に降られども

夢見る明日の輝けるなり

(佳小雨)



















もの皆過ぎ去りて後 試練の秋に業火の揺れる

それが定めと知りてより 疼く身をば焔に変えむ


ゆく舟の波は寄すとも曼珠沙華

消せぬ情火ぞ此岸に燃ゆる

(風早)


ひと恋ふは三年四年が限りとて

知りつ曼珠の消え往かぬ緋は

(佳小雨)

曼珠=万寿