プリオットの短編集

プリオットの短編集

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今日のプレイリスト。



1.Bang! /The Blankey Jet City

2.赤いタンバリン /The Blankey Jet City

3.ヘッドライトのわくのとれかたがいかしてる車 /The Blankey Jet City

4.RED-RUM /The Blankey Jet City

5.★★★★★★★★★ /The Blankey Jet City

6.Cat Was Dead /The Blankey Jet City

7.D.I.J.のピストル /The Blankey Jet City

8.小麦色の斜面 /The Blankey Jet City

9.PUNKY BUD HIP /The Blankey Jet City

12.ディズニーランドへ /The Blankey Jet City

13.ライラック /The Blankey Jet City

14.狂った朝日 /The Blankey Jet City

15.悪い人たち /The Blankey Jet City

16.3104丁目のDance Hallに足を向けろ /The Blankey Jet City






東京での会議。



僕の会社では年に数度、大きな会議が、東京の、とあるホテルで催される。

全国から関連会社の責任者が出席して、その人数は70人以上、ちょっとした人数である。その多くが各自の業績発表や本部の社長以下、役員の訓示に費やされる。みんなが5分ずつしゃべっても350分、休憩もいれて6時間以上。



恐らく30代の出席者は僕一人で、他は皆社会人経験豊かな年配の人ばかりだが、発表では本部の社長や役員の質問などもあるので、皆発表前は戦々恐々としている。





「Pさんはいいなあ。今回、発表ないんでしょ。おれなんか業績悪いからさあ・・・。ハア・・・。せめて発表は昼飯前にしてくれねえかな。飯ぐらい気楽に食いてえよ。」




会議前、ホテルのロビーから見える海をぼんやりと眺めていた僕に、Aさんは話しかけてきた。

僕は出席者の中で一人だけ年齢が離れていることもあり、あまり話相手がいない。別に壁を作っているわけではないけど。ただ気を使いながら会話を探すよりは、海を見ている方が楽なので、僕はだいたい一人でいる。




-ええ。まあ・・・。




「ちぇっ!若いのに相変わらずすかしてんねえ。今日さ、占い見てきたらおれ11位だったんだよ。ほんと、ろくな日にならねえこと請け合いだな。」





海の上には貨物船が走っていた。あの海の向こうの向こう、魚の群れ。何も関係ない様な顔をして、海の中の国境を越えて行く。





☆   ☆   ☆




夜。



東京駅近くのホテルに宿をとる。


駅の地下で食事をした後、特にすることもないので、街に出た。



雪が降っていた。




「雪が降ると、街の騒音が止むんだよ。」



いつか、彼女が教えてくれた言葉を思い出した。

素敵な言葉だと思った。でも僕はその時、彼女が明日を見ていることを知っていた。

そして、僕の事を忘れることも。

でも僕は、その言葉を忘れることはないと思った。




そう。




こんな大都会でも、雪が降れば音が止まるんだ。




実際には車のエンジンの音や、店から流れる音楽、人々の話声、足音。

そんな音に街はあふれているのに、雪が落ちる音なんて、何もないはずなのに。





本当だ。





下を向いたら、買ったばかりの革靴にたくさん雪がついていた。






銀座1丁目まで歩いたところで、少し古めかしいが良さそうな喫茶店があったので、入ることにした。

店には僕の他に酔った風の2人組のサラリーマンと、なにか小説らしいものを読んでいる男性がいる限りで、僕はカウンターの一席に座り、アイスコーヒーを注文した。



アイスコーヒーのおいしい喫茶店は、本当においしいコーヒーを知っている、というのが僕の持論で、だいたい僕は喫茶店ではアイスコーヒーを注文する。はたして、この店のそれは絶品だった。このコーヒーを飲む為に、その為だけに東京に来たいと思わせるものだった。僕はアイスコーヒーを飲むときにストローを使わない。ストローには、なにか人を馬鹿にされている気にさせるような何かがあると思うからだ。だけど、この店は初めからストローをつけてこなかった。それは僕をとてもうれしい気持ちさせた。






僕はアイスコーヒーを飲みながら、コートのポケットに入れていた小説を取りだし、適当にページをめくって読んだ。そこはちょうど男女の会話のシーンだった。僕の好きなシーンだ。こんな具合の会話である。




「女からもらったラブレターで、風呂を沸かして入った男があるそうですよ。」


「あら、それはあなたのことでしょう?」


「僕はそんなことはしやしません。ミルクなら、沸かして飲んだことはありますがね。」





ちょうどその時、2人組のサラリーマンの会話が聞こえてきた。別に聞こうと思って聞いたわけじゃない。特にその時彼らの声が大きくなったので、聞こえてしまったと言った方がいいかもしれない。


「おれさあ、だから、あれよ、関西人ってほんと嫌いなのよ。」


「あー、わかるわかる。おれもおれも。関西人っていうか、関西弁がね。嫌いだね。」


「うん、そうそう。関西弁、嫌いだねえ。なんかふざけてるもんね。」



一応関西人である僕には、一応いい気がしない内容ではある。

ただ、関西弁がふざけているように聞こえるのは確かかもしれないな。先ほどの小説のせりふにしても、関西弁にしてしまうと



「女からもらったラブレターで、風呂沸かして入った男、おるらしいで。」



となり、ふざけてると言うか、まったく色気がない。

どちらかというと新喜劇みたいだな、と考えながら、僕は本を閉じた。



外に出ると、まだ雪が降っていた。




雪が降る音。



出来る限り僕は雪の降る音を聞こうとした。




だけど、それはいつもの夜の音みたいだった。




いくつか星が見えているか、これが雨ならば、僕は、もう少しぐらいはさみしい気持ちにならずにすんだのかもしれない。