笑
夫が、なんでか、死んでた。
昔、娘とお揃いで着ていたチェックのシャツ姿の夫が、
冷たいベッドの上で顔に白い布をかぶせられている。
回りの人がいろんな準備をしながら、
私は1人動かずにいた。
回りの景色と人が動く。
有名人でもないのに、
相当大きな遺影が飾られてる。
でかっ。
今時は、あれが普通か。
とクスッと笑っていた私。
あ、誰にも見られてないか、辺りをキョロキョロ。
やば、笑ってたらだめじゃん、私。
そもそも、なんで死んだんだろう、この人。
本当に死んでるのかな。
お通夜の準備?で回りがバタバタしている中、
頭ではいろいろ考えているけど、
全然動けない私。
誰かが新聞を読んでいる。
あれ、夫の写真が載ってる。
それもあんなに大きく。
え~?
そんなに有名人だっけ?
それとも悪いことでもして銃殺でもされたの?
ん~~、わからない。
動けない私が邪魔そうにいるのに、
誰も私に気づかないのか、
それとも、
夫を亡くしてかわいそうに、
とそっとしておこうってことなのか。
でも、ここにいたら邪魔そうだな、私。
夫が寝ている、死んでいる?ベッドのそばに行こうとする。
これからどうしよう…。
涙は出ない。
本当に死んでるのかな。
白い布をはぐってみた。
あれ?なんか、動いてない?
え?
息してんじゃん。
どーゆーこと?
なんだ、これ、芝居?舞台?演技?
どーなってんの?
死んでない?
生きてる?
回りが騒がしくなった。
あら、芝居ではなかったのか。
生き返った、ということ?
え~~~っ?????
目が覚めた。
あ、夫がいない。
布団が冷たい。
ん?今何時?
どこ行った???
パジャマ姿の夫が布団に戻ってきた。
『どうかした?』
『いや、別に』
夜中こっそり外出して、
実は今戻って来た、とか?
笑
とりあえず生きてた夫は、
私の隣で横になる。
少し寝ぼけた私は…
パパがね、死んだ夢見たの。夢でよかったよぉ~。゚(T^T)゚。
と夫に抱きつく…
な~んてことしたら、
どうなるだろうなぁ。
普通なら、
『そっか、大丈夫だよ、よしよし』
って感じだろうけどね。
何十年も拒否されて仮面夫婦のうちの場合だったら、
ぎゃあ!
やめろ!なんなんだ、いきなり!
近づくなよ!
さっさと起きて向こう行け!
みたいな…?
そんなことを想像しながら、
泣いてなかったな、私。
隣にいる生きている夫をちらっと確かめて、
逆を向いてまた眠た。
ほんとだったらどうなんだろう。
お腹空いたと起きて来た夫に、
朝ごはんの用意してあげる。
夜中居なかったかもしれない夫に。
ためいきのわたし。
時間がもったいない。